2014.11.14

【月刊・白鵬】大鵬に並ぶ32回目の優勝に挑む「横綱の志」

  • 武田葉月●文 text&photo by Takeda Hazuki

第44回:幕内優勝記録

先場所、31回目の優勝を果たした白鵬(左)。横綱に祝福のキスをしているのは旭天鵬。九州場所(11月場所)で
偉大なる力士・大鵬関と並ぶ、
通算32回目の優勝を目指す横綱。
その大記録への思いとともに、
今回は今季のプロ野球界を盛り上げた
「二刀流」大谷翔平について語る――。

 11月9日から大相撲九州場所(11月場所/福岡県)が始まりました。

 秋場所(9月場所)で13勝を挙げて大旋風を起こした「モンスター」逸ノ城は、前頭10枚目から一気に西の関脇に昇進。東の関脇にも、ここに来てじわじわと力をつけてきたブルガリア出身の碧山が座りました。身長192cm、体重199kgという逸ノ城と同様、碧山も身長192cm、体重197kgと恵まれた体格の持ち主。私の身長も彼らと同じ192cm(体重157kg)ですが、体重が200kgに迫る超重量級の”新星”たちには、さすがに脅威を感じています。

 今回、この九州場所を前にして、本場所に向けての稽古、調整法をこれまでと少し変えてみました。今までは、番付発表(初日の2週間前の月曜日)の週は、部屋で若い力士らを相手に調整。翌週からは、本場所での対戦が予想される、活きのいい力士がいる部屋に私が出稽古に行く、というスタイルでした。

 そんな形を少し変えてみようと思ったのは、親方になった先輩力士の方々に話を聞いたことがきっかけでした。先輩方の話によると、かつては横綱に稽古をつけてもらうために、若手力士や新三役の力士が横綱のいる部屋に出向いていたそうですね。それが、朝青龍関が横綱になった頃から、横綱自らが相手力士のところへ出向くようになってしまった、とうかがいました。

 朝青龍関にしても、最初からそうしたかったわけではないと思いますが、横綱の強さに恐れをなした他の力士たちが、いつの頃からか、出稽古にやって来なくなってしまったんですね。しかしそれでは、番付を上げて、本場所で対戦する可能性のある新たな力士の研究ができません。横綱として、場所前には入念にやっておきたいことの、大きな案件のひとつがこなせなくなってしまうわけです。そこで、朝青龍関は「相手がやって来ないのであれば、こちらから出掛けよう」と。そういう意図があって、横綱自らが出稽古に行くことになったようです。