【月刊・白鵬】新大関・豪栄道には「足りないものがある」

  • 武田葉月●構成 text&photo by Takeda Hazuki

第42回:豪栄道

秋場所で31回目の優勝を狙う白鵬。秋場所で31回目の優勝を狙う白鵬。ベテラン、若手ともに、
話題の力士の奮闘が期待される
秋場所(9月場所)が始まった。
激戦が予想される中、
横綱が注目しているのは、
新大関の豪栄道だという。

 9月14日から大相撲秋場所(9月場所)が始まりました。名古屋場所(7月場所)後には新大関・豪栄道が誕生。夏巡業や秋場所前の出稽古では、遠藤や大砂嵐ら期待の若手力士も内容のある稽古をこなしていました。ファンのみなさんにとっても、見どころの多い場所になるのではないでしょうか。

 私は、夏巡業や所属する宮城野部屋の合宿中に英気を養いながら、秋場所に向けて自分なりの調整を続けてきました。そうした中、宮城野部屋に新小結の千代大龍が単身で出稽古にやってきたので、その相手をしたり、自らも出稽古に行って、遠藤らに稽古をつけたりすることもありました。やる気のある若い力士たちと一緒に汗を流して、「私もまだまだ、彼らの"盾"にならなければいけないな」と、改めて感じました。

 一方、ベテラン力士も元気です。ひと際存在感を示しているのが、旭天鵬関と豪風関です。

 秋場所初日の前日、40歳の誕生日を迎えた旭天鵬関は、初日から3連勝。40歳の幕内力士誕生は60年ぶりの快挙だそうですが、連日、年齢を感じさせない力強い相撲を見せています。

 モンゴル人力士のパイオニアである旭天鵬関。私もモンゴルで過ごしていた少年時代には、その奮闘ぶりをテレビで見ていました。私にとっては、大先輩であり、まさにヒーローという存在でもありました。

 旭天鵬関と一緒に入門した旭鷲山関はすでに引退しましたが(2006年)、旭天鵬関は2年前の夏場所(5月場所)にも幕内最年長記録(37歳8カ月)で優勝。相変わらず脅威の体力を誇っています。

 旭天鵬関とは一緒に稽古をする機会が多いのですが、驚かされるのは、稽古の間ずっと体を動かしていること。準備運動を入念にこなして、そのあとはみっちりと四股(しこ)を踏んでいます。その姿勢には、見習う部分がたくさんあります。ベテランだからといって、稽古を休むこともほとんどないそうです。そうした日々の努力が、40歳になっても幕内力士でいられる理由なのでしょうね。

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