【スキージャンプ】試合当日、髙梨沙羅を襲った「3つの不運」 (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Watanabe Kaoru/JMPA

 1本目終了時点で、は2.7点差の3位。飛距離に換算すれば、わずか1.5mの差で、十分に逆転のチャンスはあったのだが、2本目もまったく同じような条件になってしまった。再び着地の直前でたたき落とされる形になり、両足を揃えた一足ランディングをするしかなかったのだ。

 髙梨は、「自分でも着地の時は2本とも後ろから叩かれるような感覚はあったんですけど、上手な選手はそれでもテレマークを入れられると思うので。そこは私の力不足です」と反省する。

 結果を見れば、優勝したフォクトとは僅か4.4点差。さらに7位の伊藤有希でさえトップとは5.6点差と、これまでの女子の試合では見られなかったほどの接戦だった。

 髙梨がいつものような、抜群の力を発揮できなかったことが要因のひとつではあるが、もしも彼女が普通にテレマークを入れて各ジャッジに18点前後を出してもらえていたなら、僅差でフォクトを上回る結果になっていただろう。

 昨年から最大の課題にして克服に取り組み、今季のW杯では安定感を増してきていたテレマーク着地だったが、最大の目標であったソチでそれを入れられなかったことが悔やまれる。

「夏から集中してやってきた課題だったので、本当に出来なければいけない時に出来なかったのは、自分の準備不足だと思うし、まだまだ練習が足らなかったというか、自分の力の足りなさを痛感しました」

 こう語る髙梨は、これまで多少のミスが出てもそれをカバーできるアベレージの高さでこれまで勝利を重ねてきた。

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