【スピードスケート】調子は上々。小平奈緒がメダル有力候補に名乗り (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by JMPA/Noto Sunao

 その中でも特筆すべきなのは、100mの滑りの変化だ。
 
 昨シーズン掴みかけていた小平の滑りが、今季はウェイトトレーニングやハードな練習で、パワーアップを重点に置いたこともあり、100mまでの滑りで力を使い過ぎているような面が見受けられていた。

 だがこの日は、最初の4歩くらいだけガチャガチャガチャと力を使って走ったが、5歩目くらいから、スケートをしっかり滑らせるような走りになった。最初の4歩で得た速度をその後の滑りにつなぐことができ、トップスピードを上げられた上に力を使い過ぎないで100m以降の滑りにも余裕を持たせられたのだ。
 
 その上で10秒42の記録は、12年1月に高地であるソルトレークシティで、34秒38の日本記録(当時)を出した時の10秒44を上回る自己ベスト記録。標高0mで気圧が高いソチでこのタイムを出せたことには大きな意味がある。

 小平も「当たった感じですね。出だしが意外と良かったので、そのまま落ち着いていけました」と話し、「今は100mもガチャガチャ行くのではなく、伸びやかに滑れるようになってきていて、自分の感覚も氷に合っていると思います。本番でもスタートが今日みたいに当たればいいですけど、とりあえずは入れ込み過ぎないで、しっかり氷と対話をしながら滑りたいと思います」と意気込んだ。

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