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宇野昌磨と師匠ステファン・ランビエールが『Ice Brave』で見せた絆「今ではショウマがリーダー」 (2ページ目)

  • 小宮良之●取材・文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 村上庄吾●撮影 photo by Murakami Shogo

【切り離せない師弟の絆】

「もっとうまくなりたいっていうのはありますね。スケーターとしても、エンターテイナーとしても、スケーターとしても」

 千秋楽が終わったあと、宇野はあらためてそう明かしている。その向上心が会場を一体にしていた。

「今回挑戦したアイスダンスはスケーターの真髄と言える競技ですね。自分がスケートが大好きで、スケートのよさを見せるべき、見せたいというのにつながると思います。一方で、今までスケーターが通ってこなかった道、『スケーターにこれはできないよね』というところにも挑戦したくて。

 スケートとうまくマッチさせながら、自分たちにしかできないものをやろうと思いました。ショーを見にくる方のなかには、スケート(を見るの)が今回初めての方もいるはずで、知らない方でも面白い、すごいと思ってもらえるように。スケート、エンターテイメント両方のよさをどっちも詰め込んで、偏らせることなくできたらなって」

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 スペクタクルの象徴は、宇野の師匠であるステファン・ランビエールだったかもしれない。

 ランビエールはとくにソロの『Gravity』『Timelapse』で大人っぽい"しめやかさ"を感じさせている。長身で長い手足を優雅に動かし、スピンの安定感や速さも秀逸。『Gravity』のフィニッシュポーズは立ったままのけぞるのだが、そのシルエットだけで美しかった。『Timelapse』は時間旅行のように、異なる時空に数分迷い込む不思議さを演出していた。

 その演技は、フィギュアスケートファンには陶酔感があったが、たとえ知らなくても心を動かした。ひとつのアートだった。

「初めて日本に来たのが1999年、長野のジュニアオリンピック。その26年後にまだ日本でこんなふうに滑っているのは想像していなかったし、感無量です。今では、(宇野)昌磨がリーダーに見えます!」

 ランビエールは感慨深げに語っている。彼が宇野と出会ったことが、宇野の運命も切り拓いた。そして宇野自身も、師匠ランビエールの新たな道をつくった。ふたりの絆は切っても切り離せない。

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