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坂本花織がラストシーズンに表現する強い気持ち「自分自身のスケート人生を振り返りながら」 (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao / Dream on Ice 2025

【盟友・樋口新葉とともに納得のラストへ】

 両方のプログラムの完成へ向け、坂本はこう語った。

「伸びのあるスケーティングだったりパワフルなスピード感だったりというものをどんどんプログラムのなかで出していきたいと思っている。ジャンプとかスピンももちろん大事だけど、スケーティングの練習も大事になってくる。自分が苦手としている間の取り方もとくに必要なことかなと思うので、重点的に練習できたら」

 あらためて現役生活を新シーズン限りと決めたことについてはこう話す。

「ミラノ(・コルティナ)五輪のシーズンを逃すと、引退し損ねるんじゃないかなというのもあって。自分自身、大きな区切りがほしかったので、そうなると五輪という一大イベントを目指し、そこで区切りをつけようかなと考えていました。先生方もそういう考えだったので、全員の意見が一致して決断に至りました」

 公演初日の演技後の囲み取材で、坂本の前に出てきた樋口新葉も新シーズン限りでの現役引退を表明した。そして、披露したSPの『My Way』を「自分のスケート人生を表現するようなプログラムになっている」と説明した。

 それを受けて、坂本は「新葉とはノービスの頃から一緒に戦ってきて、自分にとっては頑張ってもなかなか追いつけない存在。その新葉と一緒に北京でメダルを獲れたことで、やっと同じところで戦えるぐらい自分が成長できたなと感じた。ここまで一緒に頑張ってこられたのが本当にうれしいし、最後の最後まで一緒に頑張れたらなと思っています」と話した。

 盟友とも言える樋口とともに向かう最終章。納得のラストダンスのためにも、坂本は今回の『ドリーム・オン・アイス』から、タフなスケジュールで走り続けるのだろう。

著者プロフィール

  • 折山淑美

    折山淑美 (おりやま・としみ)

    スポーツジャーナリスト。1953年、長野県生まれ。1992年のバルセロナ大会から五輪取材を始め、夏季・冬季ともに多数の大会をリポートしている。フィギュアスケート取材は1994年リレハンメル五輪からスタートし、2010年代はシニアデビュー後の羽生結弦の歩みを丹念に追う。

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