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坂本花織がラストシーズンに表現する強い気持ち「自分自身のスケート人生を振り返りながら」 (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao / Dream on Ice 2025

【大好きなフィギュアスケートを表現】

 公演初日に滑ったのは、フリーの『愛の讃歌』。使用曲はシャンソン歌手のエディット・ピアフが歌った『バラ色の人生』『愛の讃歌』『水に流して』だ。なかでも『水に流して』は、『ファンタジー・オン・アイス』(5月30日〜6月1日)では宮原知子の振り付けで、「私は決して後悔しない」という強い気持ちを表現する滑りを見せていた曲だ。

「フリーは、愛をテーマにした恋愛を語る歌詞ですが、振り付けのマリー=フランス・デュブレイユ先生が『恋愛の面より、花織はスケート愛をテーマにしたほうが感情移入しやすいのではないか』と言ってくれたので、大好きなスケートを表現できたらなと思っています」

 構成については、「ジャンプに気持ちが持っていかれるとほかの振り付けの部分が薄くなってしまうので、全体的なクオリティを上げるためにも3回転ルッツは1本の2シーズン前の構成に戻した」という。

 公演初日は連続ジャンプを後半の3回転フリップ+3回転トーループと、ダブルアクセル+2回転トーループに抑え、最後の3回転ループは1回転になる滑りだった。最終日は、ダブルアクセルからのセカンドを3回転トーループにするだけに抑えたが、余裕ある大きな滑りで、"らしさ"を存分に見せた。

 2日目の昼と夜公演で披露したSPは、『Time To Say Goodbye』。坂本は「20年間スケートをしてきて、幼少期からの思い出を振り返りながら、今の自分がこうやってでき上がったんだというのを滑りで示せたら」と話す。

 力強く、大きな動きで滑り出すと、最初に3回転ルッツを跳び、フライングキャメルスピンのあとにダブルアクセル。そして後半は、今回の2公演の演技では成功しきれなかったが、3回転フリップ+3回転トーループという構成だった。

「自身のスケート人生を振り返りながら」と話していたように、中盤からは体全体で伸びやかな曲を受け止めるように滑る。そして、最大の見どころという終盤のステップシークエンスは、体を思いきり動かす力感あふれる滑りを見せ、最後はレイバックスピンで締める。

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