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鍵山優真「五輪で目指すは金メダル」大技・4回転フリップ入りの新曲をノーミス (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao / Dream on Ice 2025

【目指すべきは五輪の金メダル】

 新SPのジャンプ構成は、最初に4回転トーループ+3回転トーループを入れたあと、昨季からフリーで入れるようになった4回転フリップを跳び、後半にトリプルアクセルを跳ぶ。昨季の4回転サルコウを入れていた時よりも基礎点を1.30点上乗せする意欲的なプログラムだ。

 その構成も初日の公演では4回転フリップがパンクするミスが出て自己評価は「85点」の出来。2日目の昼公演でもフリップは転倒と悔しい思いをしていた。だが、2日目の夜公演では余裕を持って最初の連続ジャンプを決めたあと、4回転フリップもきれいに降りて、トリプルアクセルも完璧に跳ぶ、ノーミスの滑りをした。

「今シーズンの一番目指すべき場所は、五輪の金メダル。団体も個人も金を目指しているので、そのために今から一日も無駄にすることなく努力していかなければならない。昨シーズンは自分に負けてばかりのシーズンだったので、今シーズンは本当に一日一日を過ごすなかで、反省点や課題をしっかりと出して、充実した生活を送れるようにしたい。それを積み重ねていけばおのずと目標につながっていくと思う。本当に一日一日をしっかり大事に」

 今季は7月の試合から出場予定で、早めに仕上げてGPシリーズはベストの状態で戦えるように備えていくという鍵山。鍵山は世界選手権3位で、1位と2位の選手が優先的にGPシリーズの出場大会を選ぶなか、鍵山のGP初戦はNHK杯、2戦目は最終戦のフィンランド大会になった。12月の全日本選手権まで中1週でGPファイナルを含めた4試合を戦うスケジュールだ。

 フリーのプログラムはまだ発表前だが、昨季終了時には4回転ルッツを入れたいとの意向も口にしている。高難度への挑戦となるだけに、いつものシーズンより早めに始動してプログラムの完成度を前倒しで高めていくことで、NHK杯からの過密日程を戦いやすくしたい思いもあるだろう。その点では、『ドリーム・オン・アイス』でのノーミスの演技は、彼にとって大きな自信になっているはずだ。

著者プロフィール

  • 折山淑美

    折山淑美 (おりやま・としみ)

    スポーツジャーナリスト。1953年、長野県生まれ。1992年のバルセロナ大会から五輪取材を始め、夏季・冬季ともに多数の大会をリポートしている。フィギュアスケート取材は1994年リレハンメル五輪からスタートし、2010年代はシニアデビュー後の羽生結弦の歩みを丹念に追う。

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