「ずっと好きでした!」声優・春瀬なつみが憧れのフィギュアスケーターに告白? 大号泣した演技も明かす (4ページ目)
【ノービス時代から見守った"スケート人生"に号泣】
ーー二度とない一瞬を滑るからこそ、フィギュアスケートはドラマが生まれるんですね。演技を通し、選手の人間性や歴史が浮かび上がります。たとえば、『滑走屋』のメインスケーターでは青木祐奈さんが典型でしょうか?
私は、「天才少女が現れた」と言われたノービス時代から青木祐奈さんを見ていました。ジャンプじゃなく、表現力も磨かれていって。ジャンプは、トリプルルッツ+トリプルループのコンビネーションから決して逃げていない。あのジャンプを維持するのがどれだけ大変か! 昨年の全日本選手権では冒頭のジャンプが単独になり、リカバリーをどうするんだろうって思っていたら、最後のジャンプで入れて......私は"諦めなかったんだ!"って号泣しちゃいました。今も思い出して話しているだけで、泣きそうです。足に乳酸がたまってきつかったはずなのに、最後まで諦めず。それだけ全日本にかけているし、スケート人生を諦めたくない執念を感じました。だから、「現役を続けるか迷っている」という話を聞いて、少し気持ちがわかるなって。声優の職業もつらいことのほうが多いんです。いつも瀬戸際で、"やっぱりここに立っていたい"って思うもので。青木さんの演技には尊いスケート人生を感じます。今回の『滑走屋』で、少しでもお会いできてよかったです。
ーー春瀬さんはノービスから選手を見続けるのが好きとのことですが、その意味で一番変化を遂げた選手は誰ですか?
宮原知子さんです。成長する姿を見られるのは、ノービスから応援する人にしか得られない特権。知子さんがノービス時代に全日本に推薦出場したシーズンは、一つひとつの要素を明確に滑っていく印象でした。あとレイバックスピンにビールマンポジションは入っていなくて、ヘアカッターというポジションでした。でもその1年後、知子さんは主流になっていたビールマンを入れていたんですよ。ふつう体は急に柔らかくならないし、負担もかかる。"1年でできるの!"って! さらに表現力もどんどん花開いていって。そのあと生で拝見できたNHK杯のショートプログラム『戦場のメリークリスマス』は本当に感動しました。ピアノアレンジで優しい静かな曲を、イノセントに表現していて。最初に見た知子さんから変身したようで芸術的でした。
ーー宮原さんは、フィギュアスケートを芸術に高めた女子選手のひとりですね。
知子さんは気持ちを表現できるように、ガッツポーズまで練習されたという話を聞きました。自分と向き合って練習をされてきたからこそ表現を極められたんですね。コーチが止めても練習する方だそうで、スピンを失敗した時、冗談で「スピン100回」と言われ、それを本当にやっちゃうとか。すごい演技を見せるスケーターは練習量も多い。その日々が演技に詰まっていて、知子さんの演技は"どれだけ練習を積み重ねてきたの?"って思って感動して泣いちゃうんです。
<プロフィール>
春瀬 なつみ Haruse Natsumi
香川県出身。2014年に声優デビューし、『アイドルマスター』シリーズの龍崎薫役で注目を集める。2025年にスタートした、フィギュアスケートを題材としたアニメ『メダリスト』では、主人公の結束いのり役を務めている。自身もフィギュアスケートの大ファン。マウスプロモーション所属。
【滑走屋】
●開催日
2025/3/8(土)
【開場】10:00【開演】11:00
【開場】13:30【開演】14:30
【開場】17:00【開演】18:00
2025/3/9(日)
【開場】10:00【開演】11:00
【開場】13:30【開演】14:30
【開場】17:00【開演】18:00
●会場
ひろしんビッグウェーブ(広島市東区牛田新町1丁目8番3号)
●チケット
会場で当日券を販売
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著者プロフィール
小宮良之 (こみやよしゆき)
スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。
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