全日本2位、16歳の中田璃士は強気が大きな武器 ガッツポーズは「ありえない数やりました」 (2ページ目)
【強い気持ちで宣言通りの表彰台】
上位で唯一のジュニアで、世界選手権の代表権獲得のプレッシャーがないなかで滑る立場。だが中田は、重圧がないわけではないと強調した。
「ジュニアGPファイナルのフリーでは練習からほぼ失敗しないで跳べていた4回転トーループのミスが想定外で、それからいろいろ崩れてしまったので緊張した。今回(全日本)はショート2位発進で、『失うものは何もない』と言われていたけど、絶対そんなことなかったです」
フリーへ向けてのプレッシャーは、自らつくり出したものでもある。会場入りする時、コーチでもある父の誠人さんに「6位以内に入ればすごいな」と言われたが、本人は「以前は全日本で6位以内に入れれば十分だと思っていたけど、ジュニアGPファイナルでの負けで、結果を残さないと去年の自分より弱いんだと思われるから、それが嫌で全日本でも3位以内を目指した」と、表彰台に乗ることを宣言した。
フリーの『パイレーツ・オブ・カビリアン』は、誠人さんが現役時代に使っていた曲だ。中田は「今シーズン、『パイレーツ』はいい演技があまりできてなかったので、パパやママには『来シーズンは違う曲にしたほうがいいんじゃない』と言われて。でもせっかくこの曲を滑れているので、うまくできることを証明したかったです」との思いを明かした。
本番の演技で中田は気持ちの強さを見せた。今季のジュニアGPファイナルでも入れていた4回転トーループに加え、冒頭に4回転ループを入れる4回転2本の構成にしたのだ。中田は昨季のジュニアGPファイナルでもフリー直前になってそれまで1本だったトリプルアクセルを2本にし、ともに成功させて逆転優勝につなげている。
「もともと左足を痛めていて、4回転はトーループを2本にすることができなかったので、最初からループをやるって決めていました。ループは朝の公式練習で降りて自信はあったので、自分を信じて跳んだ。自分のなかでは"超きれい"に決まったなと思ったけど、あとで(映像を)見たらそんなことなくて少しがっかりしました」
そう笑った中田だが、4回転ループで勢いに乗って次の4回転トーループを2.99点の加点のジャンプにすると、後半の連続ジャンプでは左足の状態を考慮してセカンドの3回転トーループを控える構成にしながらもノーミスの滑り。合計は、公認の自己ベストを30点以上上回る263.99点にして鍵山に次ぐ2位になった。
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