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新星・上薗恋奈はフリー進めず「悔しい」 三宅咲綺は高橋大輔の「根性」学び躍進...全日本女子の舞台裏ストーリー (3ページ目)

  • 小宮良之●取材・文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

【殻を破った三宅咲綺は自己最高順位】

 絆を感じているのは、三宅も同じだった。リンクに入る三原の背中へ励ましの声をかけていた。託すような気持ちがあって、表現者になれるのだろう。

三宅咲綺は自己最高の総合9位に入った三宅咲綺は自己最高の総合9位に入ったこの記事に関連する写真を見る

 三宅はSPで会心の演技を見せた。冒頭の3回転トーループ+3回転トーループを決めるなどすべてのジャンプを着氷。8位に躍進した。

「自分のなかで、ジャンプの出来としては80点くらいだったんですが......本番で決められたのはよかったです」

 三宅は言う。全日本は2018年から出場しているが、これまで最高は12位で無念さが募っていた。昨年も16位だった。

「2022年は(最終グループの)フリーで場違いじゃないかってもの怖じしてしまい、去年はショートで転倒し、フリーも2本ジャンプを失敗して......悔しい思いをしていて。絶対、ここ(全日本)に帰ってくると思っていました」

 三宅はそう言って、殻を破ったきっかけを明かした。

「(高橋大輔プロデュースの)『滑走屋』に出演させてもらい、氷の上で16時間も過ごしました。経験したことがなかったので、これがプロの技で、そこまでしないと人前で滑れないという大輔さんのプロの根性を見せてもらって。本当に『滑走屋』に出られてよかったです。今年は(全日本の舞台が)ふさわしいと思って頑張ることができました」

 フリーの演技、三宅は堂々たるものだった。9位と健闘。総合でも9位に入り、彼女はひとつのボーダーを越えた。

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