フィギュアスケート全日本で鍵山優真が新時代の扉を開く「おもしろい試合になる」 (2ページ目)
曲かけ練習は、フリーの『Ameksa』を選択。スパニッシュギターが叙情的に弦をつまびく音を拾いながら、軽やかにステップを踏む。ジャンプを跳ばずに、コースと振り付けを丹念に確認していた。GPシリーズのフィンランド大会でフリーは苦戦し、2位だったGPファイナルも本人は満足できなかったようだが......。
「ファイナル後、あまり時間はなかったですけど、ジャンプ、スピン、ステップと課題を見つめ直して、調整できたかなって。全日本でその成果を発揮できたらと思っています」
鍵山はまっすぐな目で語っている。当然ながら、彼を囲む記者の数は際立って多かった。
「自分自身、僕ひとりでエースを名乗るほどでないと思っています。今の日本はすごく選手の層が厚い。僕だけじゃなくて、一緒に滑っているメンバーも、みんな優勝できる技術を持っていて。昨年の(全日本の)ようなおもしろい試合になるんじゃないかって思いますね。そうさせるためにも、まずは自分に集中し、自分自身に勝てるように。もちろん優勝という気持ちは強いし、僕も負けていられないなって」
そう語る鍵山は結果以上に、プロセスを重視しているようだった。
「練習どおりの気持ちで、落ち着いて滑ることができるか。技術的にはいい感じでできているので、緊張している試合でも練習でやっている技術を出せるか。そこが大事ですね。自分の優先順位としては、結果よりもやるべきことに集中して。ショートで落ち着いて自分の演技をして、フリーではガッツポーズができるように」
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