鍵山優真と佐藤駿が「同学年ライバル決戦」へ 全日本選手権初制覇は誰の手に? (3ページ目)
【ベテラン山本草太は執念を見せられるか】
3人に続くのがシーズンスコア262.72点の山本草太(中京大学)だ。昨季の全日本選手権では287.00点で3位に入った。2年連続の世界選手権代表は逃したものの、四大陸選手権で4位になっている。
山本は今季、9月のネーベルホルン杯で4回転3本のフリーをノーミスで滑り、自己ベストの183.72点を出してSP3位からの逆転優勝を果たしている。だが、GPシリーズは2戦とも4位で、得点もネーベルホルン杯の得点を更新できずにいる。
世界選手権の代表になるためには、昨季の全日本のようにSP、フリーをしっかりそろえて表彰台に上がることが必須条件になってくる。勝負の世界を知り尽くしているベテランだけに、スケーティング技術の高さとともに執念も見せてほしい。
また、これまで世界選手権に3回出場している友野一希(第一住建グループ)も、代表返り咲きのためには表彰台が必須。今季は股関節に痛みがある状態で、GPシリーズのフランス杯とフィンランディア杯では、ともにSPで表彰台圏内につけた。しかし、フリーで崩れてそれぞれ5位、6位という結果。合計も230点台と伸ばせていない。前戦から1カ月空けての全日本となるが、股関節の状態がどこまで回復しているかが上位進出へのカギになる。
壷井達也(シスメックス)は、シニア移行の2022−2023シーズンからのGPシリーズに2試合出場していたが、今季はNHK杯の1試合のみ。NHK杯は「来シーズンへの希望が見えない本当に崖っぷちの状態で臨んだ」(壷井)と、SP、フリーともに自己ベストを出して合計251.52点で3位になった。NHK杯で得た自信を、全日本の舞台でどこまで発揮できるか。
2022年の全日本で2位になっている島田高志郎(木下グループ)も、フランス杯は2位。上位に食い込む力を秘めている。
世界と戦うための層を厚くするためにも、これらの選手たちに、鍵山、佐藤を突き上げるような状況をつくってもらいたい。
著者プロフィール
折山淑美 (おりやま・としみ)
スポーツジャーナリスト。1953年、長野県生まれ。1992年のバルセロナ大会から五輪取材を始め、夏季・冬季ともに多数の大会をリポートしている。フィギュアスケート取材は1994年リレハンメル五輪からスタートし、2010年代はシニアデビュー後の羽生結弦の歩みを丹念に追う。
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