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王者マリニンの「隙」がGPファイナルで明らかに? 世界選手権で鍵山優真の逆転なるか (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi

【世界選手権の再戦に向けて】

 鍵山は今回で感じたマリニンとの距離について、「やっぱりまだまだほど遠いなというふうに感じています」とコメント。続けて「次は(2025年3月の)世界選手権で会えると思うので、それまで日頃の練習からイリア選手を意識して、しっかりハードなトレーニングを積んでいきたいです」と、次なる対戦時に向けての抱負を語った。

 ともあれ、マリニンと言えども超高難度の構成ではまだまだミスも多い、ということが今回明らかになった。計り知れない可能性を持っている選手ではあるが、まだ途上であり、状況次第ではつけ入る隙があることがわかった。

 さすがに世界選手権では、マリニンも今回のような大胆な挑戦は控えると思われる。だとすれば、鍵山も今の4回転4本の構成にルッツを加えれば、その差を詰められる可能性は十分にある。

 ところで、今回5位になったシャイドロフは、GPシリーズ・中国杯のフリーでのトリプルアクセル+4回転トーループの初成功に続き、今大会のフリーではトリプルアクセル+1オイラー+4回転サルコウという超高難度のコンビネーションジャンプを成功させた。その大技を目の当たりにした鍵山が言う。

「あんなに難しいコンビネーションを試合で成功させるのはすごいこと。今の時代は難しいコンビネーションや、たくさんの種類の4回転が必要な時代になってきていると思います。僕自身も世界のトップになるためにはまだまだ4回転の種類が必要で、いろんな個性を持った選手が出てきているのを見ると、挑戦したいという気持ちも生まれる。練習でやってみたいと思います」

 日本勢のふたりにとって、勝敗だけではない新たな刺激も得られた今大会。今後に向けて、意識をより活性化させるきっかけになったのではないだろうか。

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著者プロフィール

  • 折山淑美

    折山淑美 (おりやま・としみ)

    スポーツジャーナリスト。1953年、長野県生まれ。1992年のバルセロナ大会から五輪取材を始め、夏季・冬季ともに多数の大会をリポートしている。フィギュアスケート取材は1994年リレハンメル五輪からスタートし、2010年代はシニアデビュー後の羽生結弦の歩みを丹念に追う。

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