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千葉百音が「目指すはもっと上」4回転にも挑む19歳が日本女子フィギュアスケートに与えるインパクト (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

【GPシリーズ初表彰台にも冷静】

 翌9日のフリーは、最初から彼女の持ち味である伸びのある滑りが存分に発揮されていた。SPとフリーの違いを本人はこう話す。

「演技前は緊張に押しつぶされそうで、ジャンプを跳び続けたりしてなんとか持ちこたえようとしている感じでした。演技中も一歩一歩を丁寧に。スケーティングを大きく滑ったほうが演技構成点も出るし、自分的にもジャンプの構えもそのほうがきれいに決まるので、全体的に滑りを大きくすることを意識しながら滑れたかなと思います」

 ただ、ジャンプ自体は冒頭の連続ジャンプの3回転フリップと、最後の単発の3回転フリップが4分の1の回転不足と判定され、後半の3連続ジャンプの3回転ルッツは回転不足のうえ「ノット・クリア・エッジ」となり、GOE加点を積み重ねられなかった。

 それでもフリーの得点は、昨季の四大陸選手権以来の140点台となる、セカンドベストの140.85点。合計は212.54点とし、坂本に次ぐ2位を確定させた。千葉はこの結果を冷静に受け止める。

「自分ができるベストな演技が今のコンディションのなかで出しきれたかなと思うけど、やっぱりまだ演技が終わった直後もガッツポーズがすぐに出るようなうれしさはない。自分のなかで『あそこはもっとああすればよかった』という反省点のほうが多く、もっとよくできるというところがたくさん見つかったと思います。

 NHK杯でいいイメージのショートとフリーをそろえなくてはいけないと強く感じていたので、今回はネーベルホルン杯の時と同じようにすごく緊張しましたが、そのなかでちゃんと足に力を入れてジャンプを跳べたというのを大きな自信につなげたいです。緊張のなかで力を出しきれたという自信は、昨季の全日本選手権や四大陸選手権でも経験はしていましたが、今シーズンは曲が変わり感覚も少し変わったなか、もう一度成功のイメージをつくり上げることを重要視していきたいので、今大会でいい流れに持っていく経験が積めたのはよかったです」

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