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伊藤みどりの「伝説のジャンプ」を継承する女子選手とは? 「元祖天才」が今シーズンの楽しみを語る

  • 野口美恵●取材・文 text by Noguchi Yoshie

伊藤みどり流・2024−2025シーズンの楽しみ方
女子シングル編

 ミラノ・コルティナダンペッツォ五輪のプレシーズンとなる、2024−2025シーズンがスタートした。NHK杯(11月8〜10日/東京)、そして今季の戦いは、五輪へとつながる重要な一戦となる。アルベールビル五輪銀メダリストの伊藤みどりさん(55歳)が、今季、そして五輪シーズンに向けての楽しみを語った。

今年5月、国際アダルト選手権に出場し優勝した伊藤みどりさん photo by Noguchi Yoshie今年5月、国際アダルト選手権に出場し優勝した伊藤みどりさん photo by Noguchi Yoshieこの記事に関連する写真を見る

【花織さんは立場を守るのではなく挑戦している】

伊藤みどり 世界選手権3連覇の女王、坂本花織さん。今季は、フリーのルッツを2本にして、連続ジャンプもこれまで入れていなかった「ダブルアクセル+オイラー+3回転サルコウ」を入れました。ディフェンディングの立場というのは本当につらいものです。自分をブラッシュアップする気持ちがないと、重圧に耐えられません。新しいジャンプに挑戦していくことが自分のモチベーションを保つ方法なのだと思います。

 GPシリーズ・スケートカナダでは、まだ新しいプログラムに馴染めていない様子でした。滑りこなせていない時期って、ショートプログラムはなんとか辻褄が合わせられても、フリーはひとつ歯車が狂うとどんどんミスをしてしまうもの。フリーでは、いくつかミスしただけで2位になってしまいました。

 坂本さんほどの実力があってもミスが許されないという現実を目の当たりにして、火がついたのではないでしょうか。NHK杯までには絶対にミスしないというところまでブラッシュアップしてくると思います。

【百音さんは気持ちと技術がかみ合っている】

 同じくNHK杯に出る千葉百音さんは、本番に強い選手です。19歳と若いですが、仙台から京都の木下アカデミーに移籍し、覚悟を持ってスケートと向き合っているのが伝わってきます。たくさんのトップ選手を見て、自分のガッツに変えているのでしょう。

 自分を振り返ってみても、19歳の頃はちょうど身体的にも精神的にも、波に乗る時期。自分のスケートや自分の立場や戦い方を自覚して、やらされるのではなく、自分から戦えるようになる。百音さんはちょうどその時期を迎えて、技術と心がかみ合っている印象です。プログラムを演じきる力のある選手ですし、素敵な演技が期待できると思います。

 また青木祐奈さんは、この春に大学を卒業し、現役続行を決めた選手。得意とする「3回転ルッツ+3回転ループ」や「ダブルアクセル+オイラー+3回転フリップ」を国際大会で決めて、存在感を示してほしいです。

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