宇野昌磨が「師匠」ステファン・ランビエールとコラボ『フレンズオンアイス』で絆を表現 (3ページ目)

  • 小宮良之●取材・文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

【師匠とのコラボレーションに注目】

 ファンに向けた醍醐味は第1部の"師匠"ステファン・ランビエールとのコラボナンバー『Fall On Me』かもしれない。

 黒いシャツで片ひざをついたままのランビエールの周りを、宇野が現役時代と変わらない低い重心で濃厚に滑る。ふたりは一度手を取り合い、今度は宇野が立ったまま、ランビエールの滑る姿を見つめる。

 ランビエルも長い手足を使った美しいスケーティングを披露。そして、両端からふたりは再び近づき、中央で近い距離で呼応して舞う。最後は複数のスピンをそれぞれが行ない、美しく調和していた。

〈近づいては離れる〉。それだけで、師弟の絆のようなものを表現していた。

 宇野は「いつか現役時代を振り返って思い出す風景は?」と聞かれて、現役引退会見でこう語った。

「(2022年に)初めて世界選手権を優勝したあとのステファンの喜んでいる姿ですね。自分にとって、鮮明に記憶に残る思い出になると思います」

 それほどの信頼関係だ。ランビエールに巡り会えたのも、彼の運だった。

 何より、彼は愛されるスケーターなのだろう。おかげで、運に導かれる。その恵みを、彼はリンクの上で返してきた。

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