『ワンピース・オン・アイス』ルフィを演じて宇野昌磨の意識が変わった 「かわいい」の声にどう反応? (3ページ目)

  • 山本夢子●取材・文 text by Yamamoto Yumeko
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

【僕はこういうの好きだな】

ーールフィでいる時はどんなマインドでしたか?

 どうでしょう、すごく気持ちがいいですね。ふだんは「昌磨くんかわいい」と言われても「もう25歳なんだけどなぁ......」と思ってしまうんですが、ルフィを演じている時に、かわいいと言われても別になんともないんです。

 演じているキャラがかわいいキャラだったらそれは褒め言葉ですし、やっている側としては「昌磨!」と言われるよりもショーの間は「ルフィ!」と呼ばれたい。そこが僕なりの意識として、完全に役になりきって自分がルフィだと思い込んでやらせてもらっていました。

ーーハマると突き詰めていく性格も今回は活かされていたのではないかと思います。いかがですか?

 僕はそんなに器用なほうではないので、熱量でしかカバーできないなと思っていたんです。自分がとてつもない熱量でこのショーに向かっていっているなかで、周りの人も同じくらいの熱量でショーの成功に向けて準備を進めてくださいました。その一体感がこのショーをやっていて僕が一番楽しいと思った瞬間です。

 ふだんは個人競技ですし、競技が最優先という選手は多いと思うんです。でも、そんななかでアイスショーをつくると普通は、どうしてもチーム競技というよりも個人個人のハイレベルな技術を合わせてのショーになる。

 でも、今回のようにフィギュアスケート要素を入れつつも、芸術性、エンターテインメントとしてつくり上げていくところがとても魅力的でしたし、僕はこういうのが好きだなと思いました。

『ワンピース・オン・アイス』名古屋公演 ⒸO/S・F・T OPOI2023『ワンピース・オン・アイス』名古屋公演 ⒸO/S・F・T OPOI2023この記事に関連する写真を見るーー他のキャストの皆さんは続編をやりたいとおっしゃっていました。宇野選手はいかがですか?

 もちろんやりたいですけど、ショーをつくる側に立つといろんなことを考えてしまって(笑)。難しさはたくさんあるんだろうなとも思いますし、正直そこは僕の力不足を痛感しているところでもあるので、そのためにも競技を頑張っていこうと思います。

ーー最後に、ショーを見にきてくれたファンの皆さんにメッセージをお願いします。

 ショーを見にきていただいた方、『ワンピース』ファンの方にも満足していただけるショーになったと思います。少しでも多くの方にこのショーを見てほしいと思っていました。

 また、いろんな方面で、フィギュアスケートでここまで魅せられるというのを知っていただけたらいいなと思いますし、このような新しいショーをこれからも皆さんが楽しんでいただけるとうれしいです。

『ワンピース・オン・アイス』名古屋公演 ⒸO/S・F・T OPOI2023『ワンピース・オン・アイス』名古屋公演 ⒸO/S・F・T OPOI2023この記事に関連する写真を見る
【プロフィール】
宇野昌磨 うの・しょうま 
フィギュアスケーター。1997年12月17日生まれ。愛知県名古屋市出身。5歳の頃からスケートをはじめ、2016年から2019年の全日本選手権で4連覇を果たす。2018年平昌五輪銀メダリスト、2019年四大陸選手権優勝、2022年北京五輪銅メダリスト、世界選手権優勝。2022-2023年シーズンは、スケートカナダ、NHK杯、グランプリファイナル、全日本選手権すべてで優勝。世界選手権も優勝し、日本男子初の2連覇を達成した。


『ワンピース・オン・アイス〜エピソード・オブ・アラバスタ〜』 
アニメ『ワンピース』が史上初のアイスショー化。日本屈指のスケーターが集結し、アニメの声優たちのセリフに合わせ、フィギュアスケートならではのスピード感、躍動感で『ワンピース』の世界を表現。光やプロジェクションマッピングの演出によるスペクタクルなアイスショー。8月11〜13日(横浜)、9月2〜3日(名古屋)の全国2カ所で全10回公演。
9月17日まで『ABEMA』で「見逃し配信」実施中。

プロフィール

  • 山本夢子

    山本夢子 (やまもと・ゆめこ)

    スポーツライター。青森県八戸市出身。5歳からフィギュアスケートを習い始め、高校卒業まで選手として各大会に参加。その後、渡米し大学を卒業、就職。帰国後は、コピーライターとして広告制作に携わる。2005年からフリーランス。現在はライターとしてフィギュアスケートの専門誌を中心に執筆中。

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る