浅田真央が新リンク建設プロジェクトにかける情熱 「世界で活躍できるスケーターを育てていきたい」 (2ページ目)

  • 辛仁夏●文 text by Synn Yinha
  • photo by Kyodo news

【厳しい日本のスケートリンク事情】

「選手や子どもたちから、『今日もスケートリンクに行きたい』と思ってもらえるようなリンクにできたらいいですね。そのなかで、自分のリンクから将来、世界で活躍できるようなスケーターを育てていきたいです。たくさんの方にとって、ここで笑顔あふれる思い出に残る場所になればいいですし、このリンクでいろんな経験をして学んだことが、子どもたちの人生の助けになって素敵な思い出になればいいなと思っています」(浅田さん)

 浅田さんは今後、このMAO RINKをベースに、スクールを開催して指導者として子どもたちと触れ合ったり、アカデミーとして選手育成に取り組んだり、さらに常設リンクでのアイスショー興行を行なうことを目指していくという。

 2021年8月現在で日本スケート連盟が把握している情報によると、全国8ブロックのなかで、フィギュアスケートが盛んな3ブロックのリンク数は、関東地方29カ所(うち通年リンクは8カ所)、中部地方25カ所(うち通年リンクは4カ所)、近畿地方14カ所(うち通年リンクは6カ所)となっている。それ以外のブロックでの通年リンクは、北海道3カ所、東北3カ所、中国2カ所、四国は0となっていて、3カ所だった九州には、今年4月1日に通年リンクが福岡市内にリニューアルオープンしている。

 21年1月には、東京都心の高田馬場で40年以上の長きにわたってスケート場として親しまれた「シチズンプラザ」が閉鎖され、東京23区内の通年リンクは「明治神宮外苑アイススケート場」の1カ所のみとなった。閉鎖されるリンクがある一方で、新設の通年リンクもオープンしている。2020年12月に「三井不動産アイスパーク船橋」が千葉県の南船橋駅近くにできた。さらに、2025年秋には東京辰巳国際水泳場が、都立初の通年アイスリンク施設に生まれ変わる予定だ。

 減少傾向にあるとはいえ、新しいリンクのオープンは、フィギュアスケート人気によるものだろう。だが、競技者人口を見ると、必ずしも人気に比例して増えているわけではないようだ。あるフィギュアスケート関係者は、「コロナ禍前まではアイスリンクの教室に通う子どもたちはキャンセル待ちの状態で、なかなか入会できなかったが、ここ1、2年はキャンセル待ちもなく、生徒さんは減っている」と言う。

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