宇野昌磨が喜んだ世界のレベルアップ。GPシリーズ表彰台もライバルの姿に刺激され「もっとできる」 (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Getty Images

 翌日のフリーでは、SP4位発進だったネイサン・チェン(アメリカ)が、4回転5種類6本の構成に挑んだ。複数のミスを出してしまい、合計得点は269.37点に終わった。

 そのあとの演技となった宇野は『ボレロ』を演じた。SP演技後に「フリーで必要なのは、4回転トーループとトリプルアクセルを成功させること。あと、4回転ループと4回転サルコウをどんな気持ちで挑むかがカギ。失敗してもそれを受け止めたい」と話していたような滑り出しになった。最初の4回転ループは回りきりながらも着氷で手をつくミスが出て、次の4回転サルコウはダウングレードの両足着氷。

 次の4回転トーループからの連続ジャンプを4回転+2回転にして確実に降りると、次のトリプルアクセルは軸が斜めになったが立って1.83点の加点を取った。だが後半の4回転フリップは着氷で尻が下がってしまい、0.63点の減点。そのあとの4回転トーループ+2回転トーループはきっちり決めた。トリプルアクセルからの3連続ジャンプは最後の3回転フリップで焦りが出たのか、4分の1の回転不足で2.29点の減点となった。フリーの得点はチェンより4.87点低い181.61点にとどまったが合計は1.31点上回る270.68点で、2018年世界選手権から続いていたチェンの連勝記録をストップさせた。

 最終結果は、5本の4回転を降りたジョウには逃げきられる2位だった。しかし、プログラム全体を見れば進化はあった。10月2日のジャパンオープンでは、曲調が静かな前半はその音に乗りきれないような印象だったが、今回はしっかり音をとらえた宇野らしい滑りで完成に一歩近づいていた。

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