羽生結弦が失意から立ち直れた理由「ファンやコーチが信じてくれた」 (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

 じつは、SP終了後には、「追い込まれたというより、自信喪失というほうが近かった」とも心境を吐露していた。

「何が原因かがすぐ見つかって、これがダメだったから次はこうしようというのがわかっていれば、そこまで落ち込まなかったかもしれない。(SP)5位の結果を含めて、自分がどうしていい感覚の中でミスをしてしまったのか、結局それが最後までわからない状態での終わり方だったので、自信がなくなってしまったのかなと思います」

 その自信喪失の状態を救ってくれたのが、ファンからの声援やスタッフ、コーチからの助言だった。

「フリー当日の公式練習は、試合まで時間が短かったのでブライアン(・オーサーコーチ)に『抑えていけよ』と言われました。ショートの悔しさもすごくあって、思い切り練習をしたいと思っていましたが、ブライアンにしっかり抑えてもらえて、余裕を持った練習ができました。1番滑走だった本番では6分間練習で少し足に(疲れが)来ていてしんどいなと思ったけど、最後の調整が(本番での)体力につながって滑り切れたのかなと思います」

 コーチのアドバイスを冷静に受け止め、実行した結果だった。さらに本番も「スピードはもっと出せたかもしれない」と、やや抑え気味の演技だった。

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