坂本花織は「らしさ」を発揮。紀平梨花との差を冷静に分析している (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

SP演技の坂本。後半の連続ジャンプでミスが出たSP演技の坂本。後半の連続ジャンプでミスが出た 75.50点だったNHK杯のSPが頭をよぎったというが、そうした思いもあって、本番は少し空回りしてしまったのだろう。「練習の時から自然と涙が出るほどに緊張した」と話す坂本は、前半はジャンプを含めて完璧だったが、後半に入ると、連続ジャンプにミスが出た。

「ジャンプ前の入りのカーブがちょっと違うなと思ってから、少しずつ狂い出し」、得点は71.86点。「思っていたよりはよかった。スピンとステップでレベルを取って加点を稼ぐしかないと思って、必死に頑張りました」と振り返り、フリーで紀平にミスが出れば競り合える位置につけた。

 SP後、中野園子コーチから「勝ちにいってはダメ」と言われたとおりフリーは得点を考えないようにした。「勝ちにいこうとすると変なところに力が入って本来の演技ができなくなる。いつもどおりに肩の力を抜き、自分の演技に集中するように言われました」と坂本は説明した。

 フリーはSPで克服できていた3回転ルッツのエッジエラーを取られた以外はノーミスで、スピンやステップもすべてレベル4とする完璧な滑り。得点は4回転サルコウを鮮やかに決めた紀平に4.59点差をつけられる150.31点。合計は222.17点だった。

 最初の2本のジャンプのGOE(出来栄え点)は4〜5点が並び、ステップも3〜5点。さらに、ジャッジ席近くのフェンスの上にまで高く足を上げて滑るスパイラルを含む終盤のコレオシークエンスは、ジャッジが体を後ろにのけぞらせるほどの迫力もあり、9人中6人のジャッジが満点の5点を付けた。そんな遊び心も見せる、坂本らしさ満載の演技だった。

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