2020.12.28

自然体の宇野昌磨は羽生結弦との差を痛感して喜んだ「また頑張ろう」

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

 4回転サルコウへの挑戦も、「すごい挑戦というより、小さな挑戦くらいの気持ちで挑めました。最近はサルコウがだいぶ自分のものになっているんじゃないかなと思うので」と、気負う素振りはなかった。

「これまでは大会に出ることがずっと当たり前だと思って練習してきたので、こういう状況になって初めて開催してもらえることへの感謝を覚えました。だから今回、大会に出られたことが本当によかったし、単純に楽しかった。それに自分で言うのもおかしいとは思うけれど、男子は観ている方も楽しめるとてもいい試合になったんじゃないかなと思います」

 宇野は大会を振り返って「目標があらためて見つかったし、これまでで一番大会に出てよかったと思える試合だった」とも言った。その目標とは、リンクサイドで演技を見た羽生結弦という存在だ。宇野は本人の前でも、彼が自らの最終目標だと言い切る。

「羽生選手は朝の練習でもノーミスだったし、去年と比べると成功率や体のキレが全然違うなと思って見ていました。練習でできていることを本番でやるのは本当に大変なことなのに、それを見ている側からすればいとも簡単にやってのけるすごい選手だなと......。この大会に出て、僕もミスはあったけれど、自分にとってはいい演技ができたと思いました。でもその後で(羽生)ゆづくんの演技を生で見た時に、僕とは『こんなにも差があったんだ』と思ったし、失礼だけど、すごくうれしかったです。すごく偉大な選手だというのを、久々に試合に出てあらためて痛感したので、『僕の目標はゆづくんだ』とどんな大会より思ったし、自分もまた頑張ろう、と」

 フリーで190.59点を獲得した宇野は、合計284.81点で鍵山を逆転して2位。一喜一憂するのではなく、結果を素直に受け止めていた。