2020.12.22

髙橋大輔は今を生きる。「アイスダンスを、もっと知りたい」

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 田口有史●撮影 photo by Taguchi Yukihito

NHK杯のリズムダンスで演技する髙橋大輔(右)と村元哉中 NHK杯のフリーダンスが終わった後、カップルを組む村元哉中(かな)とリモート会見に出てきた髙橋大輔は、気持ちを整理しきれていない様子だった。

 ツイズルで転倒。練習でもしないミスが出た。

「初めての試合の緊張感がありましたが、落ち着いて最後まで滑ることができました。次の試合は大丈夫じゃないかと思います!」

 村元が明るい声で、前向きに言った。隣に座った髙橋は、それに呼応するように笑顔を見せた。それは、ふたりの間によい呼吸があることを意味していた。

 もっとも、髙橋がミスをミスと正面から受け止め、悔しさを押し殺す一面は、いかにも彼らしかった。彼はその真摯さによって、日本男子シングルスケートの道を切り開き、世界の頂点に立っている。捲土重来は、髙橋の真骨頂の一つだ。

「試合って、出るからには、少しでも上の順位を狙うものじゃないですか?」

 昨年のインタビューで、髙橋は競技者としての矜持をそう語っていた。

「正直、無理だなと思う部分もあります。でも、昔からそうですけど、高いところを目指していないと、そこには絶対にたどり着けない。例えば優勝を目指して、4、5番というのも当たり前の世界ですから」

 とことん勝負に挑むことで、前人未到の記録をつくることができた。