鍵山優真、涙が溢れた父からの言葉。東日本選手権で悔しい2位 (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

 焦りがジャンプに影響し、トリプルアクセルは「q」マーク判定の回転不足で転倒。次の3回転ルッツは予定していた3回転ループを付ける連続ジャンプではなく、3連続ジャンプにしたが最後のサルコウが2回転になった。最後のトリプルアクセルもアンダーローテーション(4分の1回転以上、2分の1回転未満の回転不足)で転倒と、ミスを連発。得点は転倒4回で6点の減点もあって140.60点にとどまり、SPとフリー合計212.32点で佐藤に次ぐ2位。練習不足がそのまま出た結果に終わった。

 挑戦している振り付けの難度が高いことを鍵山は十分理解している。「ジャンプとジャンプの間のつなぎが結構凝っていて。これまでは体力を残すために(前半を)ちょっと抜いていた部分もあったけど、今のプログラムはきついし、後半でもかなりの密度で振り付けが入っているので、難しさを感じている」と話す。今回は滑り切るというよりも、全体的にジャンプを追いかけるだけの滑りになったことも、鍵山が悔しさを感じる要因だった。

 鍵山はキス・アンド・クライで涙を流したが、その理由をこう説明した。

「(コーチの)お父さんに『逃げずに頑張って、全部のジャンプを締めたじゃないか』と言われて涙が出てしまいました。悔しさもあったけれど、言葉をかけてくれたのがうれしかった」

 体力が尽きかけた中でも、ジャンプのレベルを落とすことなく挑むことはできた。彼が今季のテーマとしている「挑戦」を、貫き通せた満足感もある涙だったのだろう。

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