2020.10.05

羽生結弦は新たな地平を切り開く。ロシアで語ったブレない信条

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Noto Sunao(a presto)

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『羽生結弦は未来を創る〜絶対王者との対話』
第Ⅱ部 高め合うライバルたちの存在(5) 

数々の快挙を達成し、男子フィギュア界を牽引する羽生結弦。その裏側には、常に挑戦を続ける桁外れの精神力と自らの理想を果敢に追い求める情熱がある。世界の好敵手との歴史に残る戦いやその進化の歩みを振り返り、王者が切り拓いていく未来を、長年密着取材を続けるベテランジャーナリストが探っていく。 

2017ー18グランプリシリーズ初戦ロシア大会フリー演技をする羽生結弦  
自らの力を出し切れば勝てるという、強い自信をもって臨んだ2017年3月の世界選手権。ショート・プログラム(SP)で自己最高の109.05点を出して3連覇を狙うハビエル・フェルナンデスに10.66点差の5位発進となった羽生結弦だが、フリーでは3種類4本の4回転を決める完璧な滑りで世界最高の223.20点を獲得。合計321.59点で逆転優勝を果たした。

 それでも四大陸選手権で初めて4回転ループを跳んだ宇野昌磨は、この世界選手権で3種類4本の4回転を跳んで2.28点差で2位。また、SP6位のネイサン・チェンも、ミスはしたものの4種類6本の4回転を跳ぶ構成に挑んだ。羽生を追いかける彼らの足音は段々と大きくなっていた。

 そして迎えた2017ー18グランプリ(GP)シリーズの初戦、ロシア大会のロステレコム杯。この公式練習で羽生は、新たな挑戦を続けることを表明するような構成を見せた。

 フリー「SEIMEI」の曲かけ練習では、冒頭のジャンプに4回転ルッツを持ってきた。ここではパンクして1回転になったが、続く4回転ループと3回転フリップを決めると、後半には最初の4回転サルコウを3連続ジャンプにして成功。4回転トーループは着氷が少し乱れたが、トリプルアクセルは連続ジャンプと単独ジャンプの両方をしっかり飛んだ。