2020.09.28

羽生結弦は後輩の急成長に感謝。「自分の限界を引き上げてくれる」

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Noto Sunao(a presto)

『羽生結弦は未来を創る〜絶対王者との対話』
第Ⅱ部 高め合うライバルたちの存在(4) 

数々の快挙を達成し、男子フィギュア界を牽引する羽生結弦。その裏側には、常に挑戦を続ける桁外れの精神力と自らの理想を果敢に追い求める情熱がある。世界の好敵手との歴史に残る戦いやその進化の歩みを振り返り、王者が切り拓いていく未来を、長年密着取材を続けるベテランジャーナリストが探っていく。 

2017年四大陸選手権のSPで演技する羽生結弦 10代から世界を舞台に戦い、ライバルは年上の選手ばかりだった羽生結弦に、好敵手になりそうだと感じさせる年下のスケーターが出現してきたのは平昌五輪プレシーズンだった。

 2015年からはボーヤン・ジン(中国)が4回転ルッツ+3回転トーループを決めて、高難度4回転時代を切り開いた。そして、それに続いたのはジュニア時代から注目されていたネイサン・チェン(アメリカ)だった。シニアデビューシーズンの2016年のグランプリ(GP)ファイナルで、フリー得点1位となる197.55点をマーク。ルッツとフリップ、トーループの3種類4本の4回転を決め、SP5位から羽生に次ぐ2位になった。

 そして、平昌五輪プレ大会として中国・江陵で開かれた17年の四大陸選手権では、フリーで4種類5本を入れるなどレベルの高い演技を見せた。フリー得点では羽生にわずか及ばなかったが、ショートプログラム(SP)のリードを守ってシニア初タイトルを獲得した。

 羽生にとっては4年ぶり3回目の出場となったこの四大陸選手権。前年12月の全日本選手権を欠場した羽生にとっては2カ月ぶりの試合だった。