2020.08.31

羽生結弦、五輪連覇の壮絶な舞台裏。ソチと平昌の違いはどこにあったか

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by JMPA/Noto Sunao

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『羽生結弦は未来を創る〜絶対王者との対話』
第I部 五輪での戦い(5)<<過去の連載記事はこちらから

数々の快挙を達成し、男子フィギュア界を牽引する羽生結弦。その裏側には、常に挑戦を続ける桁外れの精神力と自らの理想を果敢に追い求める情熱がある。世界の好敵手との歴史に残る戦いやその進化の歩みを振り返り、王者が切り拓いていく未来を、長年密着取材を続けるベテランジャーナリストが探っていく。

2018年平昌五輪男子フィギュア個人フリーで演技する羽生結弦 2018年平昌五輪の男子フィギュアスケート個人ショートプログラム(SP)でトップに立った羽生結弦は、演技後にポツリと漏らすように言った。

「明日も今日のようにやればいいのかな」

 羽生のSPは、プログラム全体のみならず、すべてのジャンプについても、入りのスピードから跳び方までしっかりとコントロールされていた。歴代世界最高得点にはわずかに届かないながら、111.68点を記録した。羽生の言葉は、この演技の感想を聞かれ、「すべて計算尽くしたような冷静さを感じた」とこちらが答えたのに対しての反応だった。

 そして翌日、五輪連覇の期待がかかったフリーを迎えた。