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小塚崇彦が「何でもできる」と憧れた
初の4回転ジャンパーの演技 (2ページ目)

  • 辛仁夏●文 text by Synn Yinha
  • photo by AFLO SPORTS

 このプログラムから僕が感じたのは、氷の上でも陸の上みたいに何でもできるんだなということ。氷の上で、できないことはないということです。映画で踊っているジーン・ケリーの動きを、そのまま氷上でカートさんが演技しているわけじゃないですか。遜色ないということは、「氷の上では何でもできるんだな」と。

 だから選手時代は、カートさんのように脚(スケーティングやステップ)で見せていく選手に自分もなっていきたいというのがひとつの目標として目指したことでした。

 そんなカートさんとは、2012年の「スターズ・オン・アイス」で共演させてもらい、すごくうれしかったです。映画『オーシャンズ13』のサウンドトラックにある『スネーク・アイズ』で、このアイスショー用のプログラムを作ってもらい、一緒に踊りました。

 カートさんが作るプログラムは、滑っていてしっくりくるんです。僕はトーステップやコンパルソリーで絵を描くなど、氷と遊ぶような育ち方をしてきたので、それをもっと高度にした感じのプログラムで遊ぶ感覚でした。

 憧れのカートさんは4回転ジャンプを最初に降りた人です。何でもできるオールラウンダーなところがすごいですし、魔法を掛けたようなスケートができるスケーターです。

 いつでも気さくな方ですが、ちょっと落ち着きがなくて(笑)、思いついたことをすぐに氷の上でやってしまうようなところがある。ふっと思いつくことを、氷の上でちょろちょろと試すのですが、繊細で天才的なところがあります。静かに流れるような曲でも、ジャズとか激しいアップテンポな曲でも、どんな曲調でも踊れる感性はすごいなと思います。

 それはカートさんにしかできないスケートで、彼は唯一無二の存在です。だから、僕は最終的に「自分は自分」というものがあったので、あの人には近づけるけど、同じレベルになったり、追い越したりすることはできないと思っています。

『雨に唄えば』を振り付けたサンドラ・ベジックさんは、ブライアン・ボイタノや陳露(ルー・チェン)、タラ・リピンスキーにもプログラムを作った振付師です。

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