本田武史が衝撃を受けたプログラム。「競技なのにショーみたい」 (2ページ目)

  • 辛仁夏●文 text by Synn Yinha
  • photo by AFLO

『カサブランカ』のテーマや思いについてですが、カートさんは、そのキャラクターになりきって氷の上で表現している選手だったので、やはり何回見てもいいプログラムだなと思います。演技中にポケットに手を入れたりするなんて、競技会ではなかなか見ないじゃないですか。そういうことをプロとして表現していた選手が、それをオリンピックでやるということがすごかったです。

 競技プログラムでありながら、アイスショーで見るような演技でした。間の取り方や、プログラム全体の空気感は誰も真似できないし、カートさんにしかできない雰囲気の作り方がありました。

『カサブランカ』を振り付けたサンドラ・ベジックさんは、「スターズ・オン・アイス」の総合演出をしている振付師の方です。何度もお会いしていますが、元ペアスケーターで、札幌五輪のカナダ代表です。

 フィギュアスケートの人気が高かった当時のアメリカでは、「スターズ・オン・アイス」は大人気のアイスショーでした。それを手がけながら、ブライアン・ボイタノ、クリスティ・ヤマグチ、タラ・リピンスキー(いずれもアメリカ)という五輪金メダリスト3人のプログラムも作っていました。すごく表現にこだわりのある方で、ローリー・ニコルさんが出てくる前の著名振付師と言えます。

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