17歳・紀平梨花が目指す完全無欠。自分に勝てば、誰にも負けない

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Noto Sunao(a presto)

Never give up! 
日本フィギュアスケート2019-2020総集編(1)

 カナダのモントリオールで開催予定だった世界フィギュアスケート選手権が、新型コロナウイルスの影響で中止になり、2019-2020シーズンが終了。今季も氷上で熱戦を繰り広げた日本人スケーターたちの活躍を振り返る。今回は昨シーズン、シニア転向1年目にしてグランプリファイナルを制するなど、一躍、スターダムへと上り詰めた紀平梨花の強さの秘密に迫る──。

昨年12月の全日本選手権で初優勝を飾った紀平梨花昨年12月の全日本選手権で初優勝を飾った紀平梨花 紀平梨花(17歳)は変身し続ける。大会を重ねるたび、"新しい紀平"が生まれる。それは成長というより、進化に近い。

 シニアデビューを飾った2018年、ショートプログラムは得点が伸び悩むことが多かった。それでも図抜けたフリースケーティングで巻き返し、優勝していた。しかし2019年は、ショートが安定。グランプリシリーズのカナダ大会では、81.35点とシーズン世界最高得点を叩き出し、弱点を払しょくしていた。シニア2年目にして、国内では無敵の状況だ。

 しかし、紀平は少しも現状に甘んじていない。

「(フリープログラムで)4回転サルコウを入れたい、って気持ちは強かったです」

 2019年12月の全日本選手権で圧倒的な優勝を果たしたあと、彼女はそう言って悔しさを吐き出していた。

「直前まで迷ったし、絶対に入れる、って思っていたので(入れられなかった)悔しさはあります。それに、(捻挫が完治していない理由でできなかった)ルッツも戻したい。(高得点を狙える)ルッツを入れても、アクセルを崩さず。4回転を入れても、全部揃えられるように。何度でも、何度でも練習して、完璧な演技がしたいです」

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