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羽生結弦がスーパースラムを達成したいま、楽しみにしていること (5ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

 また、羽生は、『バラード第1番ト短調』と『SEIMEI』に再び挑戦する意味について自らの考えも述べた。

「フィギュアスケートは毎年毎年新しいプログラムをやったり、続けても2年くらいだったりするじゃないですか。でもそれが本当の真理なのかな?と、自分の中では思っていて。たとえば伝統芸能とか......。『SEIMEI』は特にその要素が入っていますけど、何か語り継がれるものというのは、何回も何回もやっているじゃないですか。クラシックバレエにしてもオペラにしても。だから自分も何か、そういう道に行ってもいいんじゃないかなって。もっと究められるものもあるのでは、と思うんです。

 むしろ同じものをやるって、メチャメチャ怖いんですよ。評価の対象が(過去の)自分で、しかも最高の状態の自分と比べられてしまうので、すごく怖い。でもそれよりも上に行けるようにと常に考えているから、それもまたひとつの形なんじゃないかなと。『Origin』と『Otonal(秋によせて)』を通してここまで来たからこそ思います」

 その怖さについて、羽生は平昌五輪シーズンを『バラード第1番ト短調』と『SEIMEI』で行くと決めた時も話していた。「ジャッジや観客にどう評価されるか怖い」と。そのため、SPは、前シーズンの『レッツ・ゴー・クレイジー』を続行しようか迷っていた。だが、平昌ではそのプログラムが受け入れられ、評価され、五輪を制することができた。そんな経験もしてきたからこその、今回のプログラム変更なのだろう。

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