本田真凜はアイスショーで自分を磨く。「粘り強く、頑張っていきたい」 (2ページ目)

  • 小宮良之●取材・文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

「こんなの何年ぶりかなって。それくらい、楽しく滑れました。昔のように、たくさんの人に楽しんでいるのが伝わったのかなって。内面の問題なのか、誰かに見られる緊張から逃げてばかりいました。もうすぐ厄年も終わるので、これで吹っ切れられたらって思います」

 残念ながら、フリーは冒頭の3回転ルッツの失敗が響いて8位に終わっている。しかし、勇気を見せ、決して逃げていない。たとえば単独の3回転ループに2回転ループをつける工夫をし、最後に予定していた3回転サルコウをより得点の高い3回転フリップに変更するなど、果敢に攻め続けた。

<スケートの楽しさを取り戻す>

 それは、簡単な作業ではなかったはずだ。

 本田はジュニア1年目の2016年、世界ジュニア選手権でいきなり優勝し、脚光を浴びている。ジュニア2年目の2017年も、五輪女王になるアリーナ・ザギトワに敗れたものの、自己記録を更新して2位に輝いた。そして同シーズンには、全日本選手権でジュニア選手ながら4位になっているのだ。

 必然的に、2018年の平昌五輪の候補のひとりとなった。

 しかしシニア1年目、本田は苦しんだ。ジュニア時代のようにうまくいかない。焦りもあって、演技は乱れ、楽しさを辛さが蝕む。結局、五輪出場は遠のき、失意を味わった。

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