2019.12.20

宇野昌磨が臨戦態勢。苦難を乗り越え、
コーチの重みを知ったシーズン

  • 小宮良之●取材・文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

 全日本フィギュアスケート選手権を控え、宇野昌磨は取材エリアで記者の質問を受けていた。表情は柔らかく、肩に力が入っていない。その場に立つ彼は、少しもストレスがないようだった。

全日本選手権の公式練習で調整をする、宇野昌磨 12月18日、代々木第一体育館。公式練習では、4種類の4回転ジャンプに成功していた。気負わず、余裕があるというのか。自分の力を信じ、踏み切れているようだった。

「(羽生結弦、髙橋大輔がそろった全日本は)一生に一度しかない場だと思っています。どういう試合になるのか。自分も含め、予想がつかない。出る側も、見る側も楽しみな試合」

 そう語る宇野の声は、くすぐったいほど弾んでいた。

 今シーズン、宇野はコーチ不在の影響もあって、重度の不調だった。グランプリ(GP)シリーズ初戦となったフランス杯では、ショート、フリーでミスを連発。次々にジャンプで転倒し、予想外の8位に終わり、この時点でファイナル進出が絶望的になった。

 しかし、スイスでステファン・ランビエルコーチの手ほどきを受けた次のロステレコム杯では、短期間で別人のように復調していた。深刻なスランプから抜け出し、4位と健闘。信頼できる指導者と出会えたことによって、彼は活力を得て、滑りを取り戻したのだ。

「今シーズンはごたごたで始まりましたけど、気づけば地に足が着いたというか。今後、決まって発表があるかと思うので、どこまで言っていいのかわからないですけど、(来季は)ステファン(・ランビエル)のところで......もう、言っちゃった!」

 宇野が自ら告白したことで、その場は華やいだ。うれしくて、楽しくて、我慢できない。高ぶりを抑えられない様子だった。