羽生結弦は「ここからまた強くなる」。ファイナルで手にした成果とは (2ページ目)
その直後にスタートした曲かけでも、4回転ループはきれいに降りたが、次のルッツはパンクして1回転に。そして練習終了間際に2回ほどエッジや上がりを確認して跳んだルッツも、軸が斜めになり途中で回転を止めて降りるものになっていた。
それでも羽生は、本番では4回転ルッツを入れる構成に挑戦した。直前の6分間練習では4回転サルコウと4回転トーループからの3連続ジャンプのあとに跳んだルッツは、しっかり軸が戻っていた。ただ、ループからつなげた挑戦では1回転になり、しっかり決めることができないまま練習を終えた。
4番滑走のケビン・エイモズ(フランス)の演技が終わってから、羽生は名前をコールされる前に4回転ループを跳ぶと、そこからつないでのルッツの入りを確認。その後もループを跳ばずにルッツの入りを2回確認して、最初の2本のジャンプに集中している姿を見せていた。
本番では、最初のループをGOE(出来ばえ点)加点4.05点をもらうきれいなジャンプで決めると、次の4回転ルッツもGOEはプラス3.94点。冷静に、余裕を持って跳んだジャンプだった。
そのあとのコンビネーションスピンは丁寧に滑ってレベル4にしたが、ステップシークエンスは若干おとなしい滑りに。スタミナ面の不安もあったのだろう。すべてのジャンプに自信を持ち、滑り出す直前までそれほど注意深く考えることもない状況と違い、この日はずっと、最初の4回転ループから4回転ルッツまでの動きに集中してそのイメージを作り続けていた。体の疲労はなくても、頭を使い続けることで膨大なエネルギーを使う。体力は、そのことでも消耗していたと言える。
実際、そうした疲労は演技後半に出てきた。4本目のジャンプだった4回転サルコウまではしっかり決めたが、5本目の4回転トーループからの3連続ジャンプは、最後の3回転フリップが回転不足になって減点。次の4回転トーループには3回転トーループではなく2回転をつけるだけにとどまり、最後のトリプルアクセルはシングルになって連続ジャンプにもできなかった。
4回転こそしっかり5本決めたものの、基礎点が1.1倍になる終盤の3本に連続ジャンプのすべてを持ってきている羽生のこだわりの構成が、体力がなくなってきた中で不発となった。
2 / 3