2019.11.25

紀平梨花はロシア勢に勝つことを
「あきらめてない」。強化ポイントは?

  • 辛仁夏●文 text by Synn Yinha
  • 能登直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

フリーではトリプルアクセルを2本成功させた紀平梨花 グランプリ(GP)シリーズ第6戦NHK杯女子シングル。昨季GPファイナル女王の紀平梨花は、同ジュニアGPファイナル女王のアリョーナ・コストルナヤ(ロシア)に敗れ、総合2位に終わった。

 フリーでの紀平は、完璧なトリプルアクセルを連続ジャンプと単独の2本成功させて151.95点をマーク。合計231.84点の今季のシーズンベストだった。一方、コストルナヤは同じく連続ジャンプと単独のトリプルアクセルを跳び、単独ジャンプでは着氷が大きく乱れて出来ばえ点(GOE)で2.74点の減点を取られながら、他のエレメンツで高いGOE加点をもらった。フリー154.96点、合計240.00点を叩き出して大会初優勝、GP2連勝を飾った。合計得点は世界歴代2位の高得点だった。

 演技直後の紀平は、右拳を突き上げるガッツポーズを見せたほど、ほぼノーミスの演技だった。それでも勢いづくコストルナヤを逆転することはできなかった。

「SP(ショートプログラム)、フリーともにしっかり集中でき、ほぼ自己ベストに近い演技ができた試合だったし、トリプルアクセルが2本ともいいものが跳べたのでよかったです。ただ、今回はSPもフリーも、自分の中ではいい演技はできたんですけど、少しミスがあったところがあったし、それがなくても1位にはなれなかったと思うほど厳しい戦いでした。

 ジャンプやスケーティング、スピンでもたくさんの(GOE)加点がつく演技を目指して、(次の大会では)優勝も狙えるようにもっともっと高いレベルを狙いたいです」

 スケートカナダに続き、このNHK杯でもロシアの新鋭の後塵を拝した結果となった。9月のオータムクラシック前に痛めた左足首がまだ完治していない紀平のジャンプ構成には3回転ルッツが入っていない。ルッツ以外のジャンプにはいまのところ支障がなく、痛みもないそうだが、痛みが出るルッツジャンプは回避せざるを得ない。このため、たとえ完璧な演技をしても、同じくトリプルアクセルを武器にするコストルナヤとは、技術点で最初から後れを取っていた。

 紀平もGOEで加点を取るジャンプやスピンを見せたが、ステップで最高レベル4を取りこぼしてレベル3にとどまったり、基礎点が1.1倍となるプログラム後半に跳んだ連続ジャンプの2つ目の3回転トーループで回転不足を取られたりして、技術点で肉薄することができなかった。それでも、演技構成点では72.52点をマークして、コストルナヤの72.35点をわずかに上回ってみせた。