2019.07.18

宮原知子は「自分で決めた曲、
作ったプログラム」で挑戦を続ける

  • 辛仁夏●文 text by Synn Yinha
  • 能登直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

 宮原知子はまだあきらめていなかった。昨季は宮原にとって試練のシーズンだった。グランプリ(GP)ファイナル6位、全日本選手権3位、そして世界選手権でも6位と振るわず、苦しい戦いを強いられた。本人もこう振り返る。

「気持ちの面で揺れたシーズンでした。自分がもっと自立しないといけないとすごく感じたので、今季はその経験を生かして、気持ちが引けてしまったと思うような試合がないようにしていきたいです」

全日本フィギュアシニア強化合宿に参加した宮原知子 そんな熱い気持ちと高いモチベーションをもって、今オフは新たなチャレンジに取り組んできたという。それが、2シーズンほど前から心に秘めていた新しいジャンプの習得だ。何としても武器にしたいと思っているのはトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)だが、そう簡単には跳ぶことができないジャンプだけに、練習時間をかけていくしかない。

「トリプルアクセルを跳ぶ練習は、時間を作ってやっています。(ジャンプ自体は)だいたい回ってきていますけど、まだ降りられていないので、まずは1回でもいいから立ちたいです。その日にもよりますが、一番よかったジャンプは、回ってコケたというレベルです。いいときはいい感じで挑めるんですけど、頭でわかっていても、もうひとつ体にそれをつなげられないという感じです」

 追われる立場でもあり、追う立場でもある、少し微妙な立ち位置にいる現在の宮原。国際大会でメダル争いをするためには、トリプルアクセルを必須のジャンプにしていかないと、勝負にならなくなる可能性もある。もちろん、それ以外のジャンプについても、高いGOE加点をもらえるように質を上げていくことが必要だ。ここ数シーズン、ジャンプの改良に取り組んでいる宮原の浮上のカギを握るのは、今季もやはりジャンプということになるだろう。

 本人もそれは重々承知していた。

「ジャンプは1本1本、見直してやっています。全体的には昨シーズンよりもよくなっていると思います。トリプルアクセルという自分にとって難しいジャンプに挑戦していることで、ほかのジャンプでは失敗できない気持ちが強くなり、以前よりは確率よくジャンプが入るようになっている感じがします。とにかく、トリプルアクセルについては、今年中に練習で1本は降りたいです」