2018.12.29

全日本2位の髙橋大輔は、ソチ五輪後に自らの現役復帰を予言していた

  • 折山淑美●取材・文 Text by Oriyama Toshimi 能登直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

 2014年のソチ五輪終了直後、髙橋大輔は笑いながらこんなことを話していた。

「銅メダルを獲ったバンクーバー五輪の後で辞めなかったのは、あの緊張感を捨てがたかったということもあると思います。だからこの先、いつか引退してもまたやりたくなってしまうかもしれません。まだ辞めたことがないからわかりませんけど(笑)」

 そんな彼の言葉を聞いていたからこそ、今シーズンの現役復帰を聞いた時に違和感はなかった。そして、5年ぶりに出場した全日本フィギュアスケート選手権で2位。2012年の2位以来の表彰台となった心境を髙橋はこう話した。 

全日本選手権で見事2位表彰台の髙橋大輔「すごくいい演技をして表彰台に立ったわけではないので、『まさか。あれっ?』という感じで、結果にすごくびっくりしていて。ショートの得点差で逃げ切ったのかな、と想像しています。でも、表彰台に立つというイメージをして挑んでなかったので、何か違和感がありましたね。『立っちゃったな』という感じで。でも、『こういう出来でこの場にいたくないな』というか……。やっぱりスッキリした演技でここにいたかったなと思いました」

 20日の公式練習後には、「2週間前に跳べるようになった4回転トーループをショートプログラム(SP)に入れる予定はないですが、フリーには自分の緊張感などいろいろ考えながら、ギリギリまで悩んで決めたい」と話していた髙橋。

「復帰を決めてからは、もともと持っていた自分の感覚というよりも、今の自分に何が合っているかを考えながら練習をしてきた。手術もして、そのあとはずっと自分の膝とも付き合ってきたし、それ以外の部分でもダンスをしたりいろんなことを経験している。自分の体がどういうものかも、5年前よりわかってきた。それが今につながってきたのかなと思います。あとは気持ち的にもストレスフリーですから」

 そう言って笑った髙橋は、挑戦する気持ちで滑ったSPは最初のトリプルアクセルの着氷でやや詰まってGOE(出来栄え点)の加点は伸びなかったが、その後の要素はしっかり加点をもらう滑りで88.52点を獲得。宇野昌磨に次ぐ2位につけた。

「これまでの2試合よりのびのびやれました。ジュニアの選手たちも4回転をやっている中、自分はトリプルアクセルで勝負するしかないので、それをきっちりやれば点数はあとからついてくると思っていた。ただ、コンビネーションはルッツも流れが悪かったので『うーん』というところですが、スピンとかステップなど、プログラム全体に関しては感情移入など、今シーズンで一番いい出来だったかなと思います」