宮原知子、女王の気迫。全日本首位発進も紀平梨花の爆発力を警戒

  • 辛仁夏●文 text by Synn Yinha 能登直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

「ここまで来たらやるしかない」――1989年の伊藤みどり以来となる、全日本選手権5連覇のかかる宮原知子が最終滑走を滑ったショートプログラム(SP)。宮原は極度の緊張感に襲われながら、集中力を発揮して気迫の演技を披露した。技術点は2位の40.54点、演技構成点はトップの36.22点を出し、合計76.76点の高得点をマークして首位発進した。

全日本選手権ショートプログラムで首位に立った宮原知子全日本選手権ショートプログラムで首位に立った宮原知子「今日のショートは、最初から最後までずっと緊張していた感じでした。足が震えるのを頑張って堪えている感じがあり、最後のスピンが終わるまで緊張している感じがして、あっという間に気がついたら演技が終わっていました」

 今季一番の気迫がこもった演技だったと言ってもいいかもしれない。音楽が始まった瞬間から、顔つきも手つきもぴりっと締まり、指先から足先まで、すべてに細やかな神経が行き届いて、見る者を「知子ワールド」に引き込む空気感を醸し出していた。プログラム終盤に向けて音楽が盛り上がるとともに、演技のボルテージは最高潮に達し、レイバックスピンからの高速ビールマンスピンでのフィニッシュは、ほとばしる熱い思いが伝わってきた。

「やっと全日本にきていいショートができました。点数はすごくよかったなと思います。全日本ではショートの最終滑走が多くて、また(抽選で)引いちゃったという感じがあったなかで、逆にここで自分の演技をして自分に挑戦したいという気持ちで滑りました。練習では失敗がありましたけど、本番でやれることをやれたので、今日はよかったです。もうちょっとジャンプが跳べたらなと、少し思うところはありましたが、今できることは何とかできたんじゃないかなと思います」

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