2018.11.11

研究熱心な16歳。紀平梨花が
打倒ロシア勢の一番手に名乗り

  • 辛仁夏●文 text by Synn Yinha 能登直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

 グランプリ(GP)シリーズ第4戦・NHK杯で、日本の新星が鮮烈なシニアデビューを飾った。トリプルアクセルを武器とする紀平梨花だ。

 9日のショートプログラム(SP)ではトリプルアクセルが不発で5位発進だったが、10日のフリーではトリプルアクセルを予定した2本とも成功させて154.72点の高得点をマーク。合計224.31点を叩き出し、SPでの首位との6.58点差を逆転しての優勝を飾った。GPデビュー戦制覇は、日本勢初の快挙だ。

NHK杯フリーで、SP5位から逆転優勝を飾った紀平梨花 試合後のメダリスト会見で、偉業を成し遂げた16歳は、少し神妙な面持ちでこう語った。

「いま、終わったばかりで、まだ全然、実感が湧いていなくて……。ショートの時点では巻き返せるかわからないくらいの不安もあったし、(それでも)ショートのミスがフリーへの集中力とかやる気にも変わっていました。まさか、こんなにもいい点数が出ると思っていなかったので、すごくいい経験ができました。これからも、あとどこを直せば点数が伸びるのか研究し直して、もっと上を目指せるように、この結果に満足せずに、明日、明後日からも(しっかりと)気持ちを持っていきたいです」

 紀平は、どんな試合でも、どんな状況でも必ずトリプルアクセルを跳ぶと公言してきた。だが、トリプルアクセルが代名詞だった浅田真央でさえも、女子にとっては高難度のジャンプであるこの大技を、試合で安定的に成功させることは極めて難しかった。紀平にとっても、ハイリスク・ハイリターンの武器と言えるだろう。

 そのトリプルアクセルを、今大会ではSPで1本、フリーで2本の計3本挑戦した。SPではここ最近では珍しく尻もちをつく転倒を見せて、69.59点と、目標の70点超えはならなかった。SP後の紀平は次のように語っている。