研究熱心な16歳。紀平梨花が打倒ロシア勢の一番手に名乗り (2ページ目)

  • 辛仁夏●文 text by Synn Yinha 能登直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

「練習では確率がよかったトリプルアクセルでしたが、少しゆがんでいたイメージが出ていて気になっていて、それがそのまま本番で出てしまった。それでも、トリプルアクセル以外はしっかり思うような演技ができたのでよかったです。グランプリシリーズでいいスタートを切りたいという思いでいっぱいだったので、トリプルアクセルで失敗して悔しいです。

 フリーでは朝練からトリプルアクセルの確認をしっかりして、不安のないような状態で本番に臨んでしっかり自己ベストを出せるように頑張ります」

 その言葉どおり、フリーでは、踏み切りのタイミングが早かったというトリプルアクセルを見事に立て直した。冒頭のトリプルアクセルには、3回転トーループをつけて連続ジャンプにしてみせる余裕があり、続けて跳んだ単発のトリプルアクセルも、スピードに乗った、切れ味の鋭い申し分ないジャンプだった。最初の連続ジャンプでは出来栄え点(GOE)で2.63点の加点をもらい、2本目のトリプルアクセルでは3.09点のGOE加点がついた。

 大技2本を成功させて勢いづいた紀平は、持ち味の基本に忠実な美しい滑りを披露し、その後のジャンプもステップもスピンも隙のない演技で観客を魅了。すべてのエレメンツでプラス評価を得た。技術点ではトップの87.17点をマークし、2位の宮原知子に15.28点もの大差をつけたことが勝負を分けた要因だ。

「昨日(SP)の時点ではトリプルアクセルで不安があったので、今日(10日のフリー)の朝の練習で何度も何度もしっかり確認したことが実行できたことがうれしいし、最後の最後まで集中力を欠かさずにできたことが本当にうれしいです。

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