佐藤信夫氏・久美子氏(元浅田真央コーチ)に
聞く「喜びと苦しみの日々」
連載・佐藤信夫コーチの「教え、教えられ」特別編
半世紀にわたってフィギュアスケート界を牽引し、数々の名スケーターを育ててきた2人。バンクーバー五輪後は浅田真央に寄り添い、ともに闘ってきたのはご存知のとおりだ。だが、昨シーズンは彼女もケガに苦しみ、そして現役引退発表のときを迎えた。指導者としての喜びと苦しみ、あらためてそんな日々を振り返ってもらった。浅田真央と佐藤信夫コーチ、久美子コーチ(2012年GPファイナル) 佐藤信夫コーチと浅田真央の接点を作ったのは、母の故・浅田匡子さんだった。バンクーバー五輪が終わった2010年の夏。匡子さんは佐藤コーチを直接訪ね、「とにかく見てください。すぐに結果を出してほしいとは思っていません」と、娘のコーチ就任を要請したのが始まりだ。すでに世界女王、五輪銀メダリストであり、国民的アイドルでもあった浅田真央。あれだけの選手を途中から教えてしっかりと導くことができるのか。そんな冒険のようなことをするべきなのか。佐藤コーチは迷い、「恐さも感じていた」と、当時のことを語っている。それでも最後は匡子さんの熱意に打たれて、指導を引き受けることになった。
――すでに実績のあるスター選手だった真央さんに対して、おふたりは「私たちは最後の飾り付けをしただけ」とおっしゃっていました。真央さんをどう指導されてきたのか、うかがえればと思います。
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