羽生結弦が語った五輪への戦略。「自分でいられるプログラム」を選ぶ (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 能登直●撮影 photo by Noto Sunao

 羽生は、すでにアイスショーで披露していた新シーズンのショートプログラム(SP)を、ソチ五輪後の2シーズン使ったショパンの『バラード第一番ト短調』だと明らかにしている。それに続き、今回の公開練習で、フリープログラムは2シーズン前に使って歴代世界最高得点を出した『SEIMEI』であることを正式に発表した。

「ショートのバラードに関しては、少し迷いがあったかもしれないですけど、『SEIMEI』 に関しては2015-16年シーズンにやっていい演技ができた時から、このプログラムを五輪シーズンに使おうと決めていたので、迷いはなかったです。だからこそ、昨シーズンは曲を何にしようかと迷いました。和風でいきたいなと思っていましたが、和風にし過ぎると前のシーズンにかぶってしまうかなと思ったりもしました。その意味では『SEIMEI』を、今シーズンへ向けて温めておいたという感じです」

 前にやったプログラムということで、周囲からは「またか」と思われるかもしれないし、完璧にやることができた以前の演技にとらわれてしまうというリスクはもちろんある。だが羽生は、その点も「技術構成が違うから問題ない」と考えている。

「今のイメージは、最初、4回転ループと4回転サルコウを跳んで、そのあとに3回転フリップとスピン、ステップ、後半の1発目に4回転サルコウ+3回転トーループ。そのあとに4回転トーループ+1回転ループ+3回転サルコウをやって、4回転トーループ。その後はトリプルアクセルの連続ジャンプをやり、最後は普通の構成であれば3回転ルッツです。でも、リカバリーを考えて練習ではトリプルアクセルを2本やっています。どんな状況でも対応できるように、後半の構成は常に高いレベルでやるようにしています」

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