現役続行の浅田真央。待ち受ける現実と引き受ける覚悟 (2ページ目)

  • 辛仁夏●文 text by Synn Yinha 村上庄吾●写真 photo by Murakami Shogo

 小学6年生で初出場した全日本選手権の衝撃以来、彼女にはいくつものキーワードがついて回った。「天才少女」「天真爛漫」「3連続3回転ジャンプを跳んだ女の子」「現役唯一のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)を跳ぶ選手」「努力家」「練習の虫」「負けず嫌い」などだ。

 女子選手として初めてトリプルアクセルを跳んだ伊藤みどりを育てた山田満知子コーチに指導を受けてデビューした浅田を、メディアは「天才少女の出現!」と大々的に取り上げた。3回転+3回転+3回転の連続ジャンプやトリプルアクセルを跳んでみせた12歳の少女は、屈託ない天真爛漫な言動で旋風を巻き起こした。飛距離と高さがある豪快なジャンプを跳んだ伊藤とは違い、浅田は軸の細い回転速度が速いジャンプで、くるくると軽快に跳ぶタイプだ。何より、スケートが大好きで楽しそうに滑る姿が印象に残った。

 浅田の武器と言えばジャンプ。特に、小さい頃から取り組んできた大技トリプルアクセルだ。伊藤が現役時代の20年以上前から現在に至るまで、女子選手にとってトリプルアクセルは最大の技となっている。ジュニアからシニアに上がった当時、現役で跳ぶことができたのは彼女ただ一人。それにより浅田の存在価値は極限まで高まったと言っても過言ではないだろう。

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