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【独占取材】中谷潤人は勝負のラウンドで「視界が二重になった」 120パーセントを出した井上尚弥戦を経て「KOアーティストを目指す」 (2ページ目)

  • 林壮一●取材・文・撮影 text & photo by Soichi Hayashi Sr.

 中谷が想起した「ラスベガスの試合」とは、2023年5月20日にWBOスーパーフライ級空位決定戦として行なわれたアンドリュー・モロニー戦だ。第3ラウンドにモロニーの頭突きを浴びた中谷は負傷をものともせず、最終ラウンドKO勝ちで2階級制覇を達成した。

 だが、この日の相手はモンスターであった。11ラウンドの途中から、中谷は劣勢になる。バッティングの影響で血が目に入り、視界が奪われたのではないかと筆者は感じていた。それを質すと、中谷は否定した。

「11ラウンドは、途中から左目が二重に見えていたので、左をガードで隠して右目だけでやった感じです。このラウンドの半ばに井上選手の右アッパーを喰らいました。出血とは別で、視界が二重になったんです」

試合後の会見に臨んだ中谷の顔には、バッティングなどの傷も photo by Naoki Kitagawa試合後の会見に臨んだ中谷の顔には、バッティングなどの傷も photo by Naoki Kitagawaこの記事に関連する写真を見る

 映像を見直すと、第11ラウンド1分37秒、接近戦での打ち合いの折に中谷は井上の右アッパーを喰らっている。中谷は、この一発で左眼窩底を骨折した。その後は、試合終了のゴングが響くまで、二重に映る目をかばいながら、前に出た。最後まで、モンスターに向かっていった。

【芸術的な一戦を経て、さらなる高みへ】

「11、12ラウンドでギアを上げて攻撃する策でした。もちろん、KOを狙っていましたよ。でも、井上選手の技術で負傷しました。あちらが一枚上手だったという感覚があります」

 中谷は快活に喋った。

「自分を出しきりましたね。スコアが読み上げられた時、『井上選手かな』という思いでした」

 116-112、116-112、115-113のスコアで、チャンピオンが4冠統一スーパーバンタム級タイトルを防衛した。

「もちろん、悔しいです。でも、これまでやってきたことを出せたと感じています。清々しさがありました。結果を受け入れながら控え室に戻り、10年以上同じチームの一員として切磋琢磨してきた仲間(WBOフライ級王者のアンソニー・オラスクアガ、バンタム級選手のエイドリアン・アルバラード)と顔を合わせた際、『心が震えた。いい試合だったよ』と言われ、ちょっとウルっときましたね。

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