中谷潤人が元世界ヘビー級王者と訪れたモハメド・アリのライバル「ジョー・フレージャー」像を前に「僕も、そんなレベルのチャンピオンになりたい」 (4ページ目)
統計サイト『Statista』の2024年7月5日のデータによれば、アメリカ合衆国の人口のうち白人は61.27パーセント、ヒスパニックが17.79パーセント、黒人は13.31パーセントとなっている。客の比率も自然と"ホワイト"が大きくなるため、彼らが満足するストーリーが創られるのだ。
その点について、中谷は述べた。
「真実を目にすることが大事ですよね。ボクシングに関しても、本物志向のファンが増えるといいなと思います。どんな入り方でもいいから、それを第一歩として、より深く物事を感じてほしいですね。
個人的にはリアリティーを追求して核心に触れていただけたらという思いがありますが、映画鑑賞に行ったのなら、やはり作品を楽しむことが肝心です。そのうえでさらに興味を持って、実際の様子を知ってもらえたらうれしいです」
フレージャーは生前、次世代の実力派ボクサーを励ましている。強すぎてチャンピオンから敬遠され、なかなか日の目を見なかったマービン・ハグラーにこんな言葉を送ったのだ。
「お前がチャンスに恵まれないのは黒人であること、サウスポーであること、そして、素晴らしいからだ」
元ミドル級統一王者のマービン・ハグラーこの記事に関連する写真を見る
のちに統一ミドル級チャンピオンとなり、12度の防衛に成功して伝説の男と謳われる後輩に、肌の色を含んだマイナス面を伝えていたのだ。無論それは、自身の体験が源になっている。
「そういう苦い思いを乗り越えた強さがあったんですね。僕も銅像が作られるくらいの存在になれるよう、頑張らなくてはいけません」
中谷は自身に語りかけるように、言葉を発した。
フレージャー像の制作者であるレインは、動きを表現するよう努めた。除幕式で、その思いを述べている。
「(彫刻家の)オーギュスト・ロダンの言葉に、動きを表現するには3つの段階が必要、というものがあります。それは、『あなたがどこにいたか』『今どこにいるか』、そして『どこへ向かっているか』です。フレージャーの足(過去)、胴体と手(現在)、そして最後に首と頭(未来)の配置によって、動きの流れを作り出すことを意識しました」
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