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山中慎介は中谷潤人の「サプライズ」な猛攻をどう見たのか 戦い方が「ダーティー」という声には「ちょっと違うかな」 (3ページ目)

  • 篠﨑貴浩●取材・文 text by Shinozaki Takahiro

【両者の未来と"モンスター"が待つ階級へ】

――中谷選手のファイトスタイルについて、一部から「ダーティー」という声がありました。これについては?

「ボクシングに限らず、勝負の世界で相手の弱点を突いたり、ダメージがある部分を攻めるのは勝つための鉄則です。今回でいえば、腫れている部分を狙うのは当たり前。その他の、グローブタッチをしなかったり、クリンチワークだったりも特に気にならなかったです。ですから、ダーティーという指摘自体がちょっと違うかなと。試合中にダーティーだと思ったシーンは一切ありませんでした」

――肩や腕を狙って打つのはサウル"カネロ"アルバレス選手もやりますね。中谷選手も中学卒業後にアメリカに渡っていますが、日本のアマチュアエリートとは違うスタイルなんでしょうか?

「それはあると思います。アメリカ仕込みというか、中谷のトレーナー、ルディ(・エルナンデス)の教えかもしれません。長身であの戦い方をすること自体、日本の指導者ではなかなか考えつかないでしょう。そして、これは両選手に共通して言えることなんですけど、中谷はルディ、西田は武市トレーナー、その指示通りに動いているんですよ。まるでコントローラーで操作されているかのように」

――なるほど。陣営が考えた戦略をしっかり遂行する選手ということですね。

「そこには、深い信頼関係があるからこそ成り立っていると思います。例えば、寺地拳四朗選手(WBC・WBA世界フライ級統一王者)と加藤健太トレーナー(三迫ジム)も、まさにそんな関係ですよね」

――西田選手側は、前に出て距離を詰める作戦だったとのことですが、近距離に勝機を見出したということでしょうか。

「ロングとミドルの距離は中谷が強いですからね。西田とすれば、近距離でのボディーを含めた攻撃で勝負したかったんだと思います」

――西田選手が取り返した3、4ラウンド、中谷選手が自ら意図したのかはわかりませんが、少しペースを落としたようにも見えました。

「1、2ラウンドはかなりハイペースに攻めましたからね。疲れが出たのか、あえてペースを落としたのかはわかりませんが、明らかに序盤より攻撃のテンポは落ちました。西田選手が主導権を取り戻して、陣営としたらかなり手ごたえを感じたと思います」

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