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山中慎介は中谷潤人の「サプライズ」な猛攻をどう見たのか 戦い方が「ダーティー」という声には「ちょっと違うかな」 (2ページ目)

  • 篠﨑貴浩●取材・文 text by Shinozaki Takahiro

【西田の巻き返しと、中谷の"非情"な攻め】

――中谷選手はあえて強引に攻めた部分も含めて、少し粗さはありましたか?

「1ラウンド目の入りは力みもあったと思いますし、多少ラフに入りましたよね。解説の村田(諒太)もそう話していました。中谷はそこも想定内、作戦通りだったのかなと思います」

――怒涛のラッシュに、会場もどよめきましたよね。

「さすがに西田も『攻めすぎだろう』と思ったんじゃないでしょうか(笑)。不意を突かれたというか、驚きもあったと思いますが、西田も中谷が出てくるのは『ある程度想定していた』ということですから、1ラウンドの中盤からしっかりパンチを返していましたね」

――西田選手は3ラウンドでジャッジ3人のうち2人、4ラウンドでは全員が支持してポイントを取りました。

「中谷のアッパーやフックのタイミングが、少しずつわかってきたんだと思います。そのなかで、シャープでコンパクトな西田のパンチが、先に当たる場面も増えていきました。特に左ボディーは、3ラウンドで効果的に打てていましたね。中谷がそれでどれだけダメージがあったのか、嫌がっていたのかは、ちょっとわからないですが」

――試合後の中谷選手は「ボディー攻撃も想定内。効いたパンチはなかった」とコメントしていました。

「それが本当かどうかは、中谷本人にしかわからないですね(笑)。ただ、初回のサプライズもそうですが、試合後のコメントも含めて、我々の想像の上をいっていました」

――想像の上というと、中谷選手の「非情ですけど、勝つために腕を狙いにいった」というコメントもありましたが、その点にも驚かされました。

「そうなんです。西田のセコンド、武市晃輔トレーナーでさえ、あれほど近くで見ていても4ラウンドが終わった時点でも肩の異変に気づいていなかったそうです(武市トレーナーは、6ラウンド終了後のインターバルで肩について西田に聞いた、と自身のYouTubeで話している)。それを3ラウンドあたり(中谷は『3ラウンドが終わって4ラウンド始まる前に肩を回していた』とコメント)で見抜いた中谷は、やっぱり恐ろしいですね」

――山中さんは現役時代、顔面やボディー以外の場所を狙って打った事はありますか?

「ないですよ(笑)。僕の場合、いろんな角度からパンチを打つタイプではなく、ストレート系のパンチが主体だったこともありますけど、そもそも、そんな発想自体がなかったです」

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