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強さに悩んだ女子レスラー「チーム200キロ」の優宇 目指すは、男子選手が「こいつなら打っても壊れないな」と思ってもらえる体 (2ページ目)

  • 尾崎ムギ子●取材・文 text by Ozaki Mugiko

【「橋本千紘のパートナーの子」と呼ばれて】

 東京女子プロレス退団後、ヨーロッパに渡った。ひどいホームシックに陥った時に助けてくれたのは、イギリスの「プロレスリングEVE」という団体だった。

 ヨーロッパで唯一の女子団体。小さな会場で試合をする小規模の団体だ。大会後にはみんなで写真撮影をしたり、「次、いつ帰ってくるの?」と聞いてくれたり、家族のような温かさがあった。

「私はYuuという名前なので、今でもEVEの試合に出ると、お客さんがタイトルや歌詞に『You』が入っている歌を歌ってくれるんですよ。ビートルズの『All You Need Is Love』とか。そういうのも温かくて、EVEの所属にさせてもらったんです」

 海外ではWWEやAEWといった大手の団体以外、所属という概念があまりない。契約が結ばれているわけではないが、それでも優宇は「EVE所属」と名乗ることで恩返しをしたいと考えている。「自分が活躍することで、EVEの名前を世界中に広めたい」と。

 2019年4月に帰国し、仙女への参戦を発表。7月27日には仙女初のイギリス公演が開催され、優宇は橋本千紘とタッグを組み、ミリー・マッケンジーとチャーリー・エヴァンスが持つ仙女のタッグベルトに挑戦した。試合は惜しくも敗れたが、この日をきっかけに優宇と橋本は「チーム200キロ」を結成した。

 結成当時、優宇は「橋本千紘のパートナーの子」と呼ばれることが多かった。仙女の所属選手ではないこともあり、どうしても主役は橋本になりがちだった。

「『パートナーの子』と言ってくる人に対して、『悔しい、見てろよ』と思ったこともあったけど、自分が橋本ほど努力しているかと言ったら、自問自答する日々でした。よく人と比べて落ち込むことってあるじゃないですか。でも私は、人と比べるにはその人と同じくらい努力をしていなければ、天秤にもかけちゃいけないと思っているんです」

 橋本と同じことをしても、つまらないタッグになってしまう。「だったら別の努力をしよう」と思った。そこから、体を大きくすることに注力するようになった。

 一般的に体を大きくするとスピードが落ちてしまいがちだが、優宇はスピードもある。特に脚のトレーニング、瞬発系のトレーニングには力を入れている。大きくても走れるのが自分のプロレス。優宇は「走れなくなったら引退」と決めている。

「ただ太っているだけだとケガもしますし、臨機応変に体が動かないと、相手をケガさせてしまう。『ケガしないのも、させないのも一流』と教わったので、トレーニングは人一倍やっています」

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