RIZINフェザー級王者・鈴木千裕は「最短」にこだわる「子どもたちが格闘家を目指すキッカケをつくりたい」 (3ページ目)

  • 大楽聡詞●文・取材 text by Satoshi Dairaku

次戦に向けて体作りも順調な鈴木千裕 Photo by Ryosuke Hoshina次戦に向けて体作りも順調な鈴木千裕 Photo by Ryosuke Hoshinaこの記事に関連する写真を見る

――2023年11月4日、『RIZIN LANDMARK 7 in アゼルバイジャン」でのRIZINフェザー級タイトルマッチ。王者ヴガール・ケラモフ選手から秒殺KO勝ちを収め王座を獲得。目標としていたRIZINフェザー級王者となりました。

「『間違っていなかったな』と思いました。トレーナーも会長もジムも先輩も家族も周りの人たち全員が『鈴木千裕が絶対チャンピオンになる』って信じて応援してくれるわけじゃないですか。誰ひとりとして間違っていなかったと証明できたと思います」

――その試合後、『ファイトマネーの一部をアゼルバイジャンに還元します』とコメントしました。

「ファイトマネーを僕だけのものにしてもいいんですよ。でも、これを誰かのために使うことが大事。それを稼ぐのに、自分ひとりじゃ絶対無理なんです。心を支えてくれたり、面倒を見てくれたりするいろんな人たちがいる。まずは、そういう人たちのために使わないとダメだと思ってます」

――そういう考え方を持つようになったのはいつごろからか認識はありますか?

「キックのチャンピオンになってから、さらに認識しました。ファイトマネーの一部は、子どもたちが格闘家を目指すキッカケ作りに使いたい。子どもたちが『格闘技を通して、こんなことができるんだ』って感じて、数年後に『僕たちも格闘技がやりたい』って思ってくれればいい。そのキッカケを作るためのイベントを開催して、子どもたちが楽しく気軽に格闘技と触れ合えることに使いたいんです」

――そういう考えに至ったのは、どうしてですか?

「格闘技って、あまりいい流れがないじゃないですか。暴力的とか野蛮だとか悪いイメージが先行しているところもあって、格闘技に批判的な人もいるのが現状です。

 そんな中、実際にチャンピオンと触れ合うことで、『格闘家って優しいしカッコイイな』と感じて、将来その子どもたちが意思を継いでくれたらいいなと思います。

 残ったファイトマネーは、両親に何かプレゼントして恩返ししたり、会長や先輩たちに食事をご馳走したり、そういうことに使うほうが意味あるし、今の僕には価値がありますね」

後編>>総合格闘家・鈴木千裕は絶対王者になって新時代をつくる 防衛戦と師匠・五味隆則に恩返しする一戦への思い

■Profile
鈴木千裕(すずき ちひろ)/1999年5月14日生まれ、東京都三鷹市出身。身長173cm体重66Kg。クロスポイント吉祥寺所属。通称、クレイジー・ダイヤモンド、天下無双の稲妻ボーイ。2021年9月総合格闘技再起戦及びにRIZINデビュー戦となったRIZIN.30ではTKO負けを喫したが、2023年11月アゼルバイジャンで開催されたRIZIN LANDMARK 7ヴガール・ケラモフ戦で見事1RKO勝ちを収め、第5代RIZINフェザー級王座を獲得。KNOCKOUT(キックボクシング)とRIZIN(総合格闘技)の両団体の2冠王者となった。

■初デジタル写真集
『HERO』(Sportiva eBooks/集英社)
2024年4月22日鈴木千裕の初のデジタル写真集が発売。格闘家として力強く練習に励む姿から、普段メディアで見られることのないスーツ姿や笑顔まで、等身大の姿を撮り下ろし。誰よりも強く、誰からも愛される二刀流のチャンピオン、「ヒーロー」鈴木千裕のいまが凝縮された一冊。
週プレ グラジャパ!版のみ、アザーカットと鈴木選手の人物像に迫った約30分のインタビュー動画が特典に。

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